1.《ネタバレ》 一言で言うと料理を大事に録っている作品だと思います。映画やドラマで料理や食事のシーンが出てくると得てして汚らしくグロテスクになりがちですが、この作品では包丁で食材を刻む音、炒める音、蒸し上がった蒸気の音、出来上がった料理の湯気、光の当たり方、構図…それらの音や画すべてに「しあわせのかおり」を感じました。もちろんそれらの料理を際立たせる中谷美紀と藤竜也の類い希なる演技力による部分も大きいと思います。食事シーンでは表情からも美味さが画面から伝わってきますし、重い中華鍋を振るシーン、アップは別の人の手かもしれませんが引きの画では間違いなく中谷自身が振っています。昨今の邦画のように派手な展開はありませんが見終わった後にほっこりと心の奥が暖まる、そんな映画です。