2.《ネタバレ》 ソ連の血みどろの粛清を克明に描く「ストライキ」。
国の革命がもたらした何千何万という流血。
国の政策の犠牲になるのは、いつも下を支える民衆だ。
その一部始終がこの映画に詰まっている。
工場で重労働を課せられる労働者の苦しみ、その波は民衆に波及し、やがて工場は停止する。
我武者羅に働いてきた男たちは、いままでないがしろにしていた家庭の大切さを思い出す。
ある者は家で過ごし、ある者は演説をして民衆を刺激する。
それに手を焼く国の重役たち。
ストライキの鎮圧は軍隊に任せ、自分たちは高みの見物だ。
のんきに酒を酌み交わし、下の気持ちなんざほとんど省みない。
そこに酒を運ぶ召使い。
彼もまた民衆の一部だ。
苦々しい笑みで現状を嘲笑う。
そして人がいなくなれば、彼らは残ったご馳走を食べ尽くす。
ここまで人の上下の差を描いていく。
働き手がいなくなった工場を、一匹の猫が通り過ぎていく。
その生々しさが凄い。
動かなくなった工場はその働き手の首すら締めていく。
働かなくなり金が底をつき、家のシーツや古着を売り金に変える事にも限界が来る。
工場を動かさなければ、働き手も食い詰めるのだ。
政府はそれを待てば良いのだから。
労働者たちは、家族を食わせるために再び工場へと戻っていく。
だが、突然の不幸が襲う。
浮浪者たちがストライキに同調し、何と工場を焼いてしまったのだ。
何という皮肉。
ストライキの面々が反乱したのだと、軍隊は人々に銃を向ける。
男、女、老人、赤子まで、尽く殺していく。
後には大量の死体と血の川だけが残る・・・。
その強烈極まりない映像!