16.心の架け橋の映画かと思っていたら本物の橋を架ける映画でした。軍人の中のエンジニア魂にも大いに共感できます。何とも皮肉な結末が良かったです。 【ProPace】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2014-08-13 19:57:08) |
15.早川雪洲が、まさにそのまんま、いわゆるセッシュー台に乗って演説をぶっております。ってのはどうでもいいですが、私もその昔、初めて本作を観た時には雪洲演じる斎藤大佐の不甲斐なさばかりが印象に残って。というより日本軍は二流、英国軍は一流みたいな描き方が鼻について。しかしそう感じたのも遠い昔、その後何度か観ていると、作品の印象も変わってくるもの。この映画でやり玉に挙がっているのはむしろニコルスン大佐。彼は徹底した勝者として描かれている。完璧な軍人、ほとんど非人間的とも言えるほど。それに比べりゃ斎藤さんなんて、意地を張って見せても、弱さの面を充分に持っていて、非常に人間的な存在ですよね。ニコルスンはひたすら信条を貫く。部下からの信頼も厚いが、あくまで信条第一であり、部下への思いやりが如何ほどのものなのかはわからない。彼がいなければ英国軍捕虜は規律が乱れ、彼がいれば見事な働きを見せる。しかしその背景にあるのは「軍人には規律が必要」という彼個人の信条であり、「英国軍の力を見せつけたい」という彼個人の欲求であり、そのためには、一般兵はおろか、将校も傷病兵も過酷な労役に動員する。ニコルスンの言動には紳士的な面もあるけど、ことあるごとに斎藤大佐なイヤミな発言をぶつけるあたりは、到底褒められたものではありません。彼は紳士である以前に、ひたすら「勝者」なんですよね。この映画、前半の「意地の張り合い」がじっくり描かれる割に、後半、本格化する橋の建設の苦労が充分描かれないのが、不満ではあるのですが、またこの苦労をあまりこの段階で描きにくかったのかも。何しろ、橋が完成するまではニコルスンは完璧なヒーローでなければならないのだから。労役の過酷さは、連なる捕虜たちの墓でのみ暗示されている。そしていよいよ橋の完成。気が緩んだニコルスンは棒を川に落とす。彼が「敗者」へと転落する予告。彼が英国の名誉のために完成させるべきと判断した橋を、英国軍は破壊すべきと判断した、それは彼の軍人としてのアイデンティティの崩壊を意味する訳で。結局、壮大なカタストロフィとともに、表舞台の人間たちはすべてが敗者となり、傍らでそれを目撃した者は。それをただ、狂気としか表現できない。それは戦争の狂気なのか、個人の狂気なのか。観るたびに、作品の印象が前者から後者へとウェイトが移っていき、ため息も大きくなっていく次第。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2012-03-04 17:08:33) |
14.《ネタバレ》 歴史的な実話を題材にした戦争映画というものは、実話にどのくらい基づいているか正直気になるところです。しかしこの映画はいろいろな意味で史実と大きく懸け離れているらしく、何よりも橋は爆破なんかされていなかったという。そのような切り口からこの映画を語ると、リアリティのない夢物語に過ぎないと映るかもしれません。ところが映画を出来る限り楽しみ味わい、多様な切り口かつ柔軟な発想で臨み史実のひとつにヒントを得た監督デビッド・リーン創作の戦争物語、と受け取ると話は別となります。敵国日本に対しても敬意を払った作風になっており、リーン監督の壮大でヒューマンな演出は賞賛に値こそすれイヤラシさも違和感も取り立てて感じることもない。それでは作り手が最も訴えたかったラストのクライマックスはどうであろうか。河の水位が下がった夜明けから始まるスリリングな演出は、人間ドラマとサスペンスが渾然一体となっており見る者を唸らせる見事な展開である。唯一自分というものを見失わず常に局外者でいようとしたクリプトン(ジェームズ・ドナルド)。敵味方が入り乱れ殺し合い、一瞬のうちにすべてが破壊され無になるという信じられない光景を目の当たりにする。「バカな。信じられない。」と発するその言葉に、戦争という愚かな行為を凝縮させているのは言うまでもない。 【光りやまねこ】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-10-19 13:01:00) (良:1票) |
《改行表示》13.前半部分では日本軍と捕虜、後半では橋を作る側とそれを破壊しようとする側を中心とする話となっていて、その対比みたいなところが良いと思った。 僕はこの映画を見て日本人を馬鹿にしてるとは思わなかったけれど、この映画に出てくる日本人たちの日本語での演技は正直ちょっと・・・って感じだった。 【ボーリック】さん 9点(2004-08-28 17:36:45) |
12.「ディアハンター」やら「プラトーン」やら以降、戦争映画はよりエンターテインメント性、ユーモア性を排除してシリアスさを追求する傾向が強くなっているような気がします。この古い戦争映画「戦場に架ける橋」には、まだエンターテインメント性が残されているということが私には感じられます。それはさておき、この映画のラストシーンには、結局戦争は虚しいだけというテーゼが十分なほどに感じられます。迫力もあるし、個々の人間の感情の起伏などもとてもよく描かれており、一本の映画として大変に見応えのある大作だと思います。ズバリ名作。私はある時期、毎年お正月休みにレンタルして見ていましたので、私にとってはお正月映画という感じです。 |
11.初めて見た戦争映画。まず凄いと思うのは戦闘シーンが少ないのに「戦争の無益さ」を痛感するところ。最後のクリプトン軍医の言葉、「madness」は戦争のすべてを物語っている。せっかく後世に語り継げるためにイギリス将校が日本人も含めて作り上げた橋なのに・・・ああ、切ない。日本政府はこの映画を見るべきです。 【浜乃神】さん 9点(2004-03-10 01:37:48) |
10.大佐はオビワンだったのですね。まったくそれとは知らず、ただただ、彼の好演に見惚れてました 【ノマド】さん 9点(2004-02-09 17:10:15) |
9.デビッド・リーンの作品らしく、見ごたえのある骨太な人間ドラマが、大自然の中でくりひろげられていきます。みなさんと同様に、戦争のむなしさも感じましたが、それ以上に人間の生き方も考えさせられました。主人公は、捕虜として生きていく上で、軍人としての誇りある生き方を、橋を見事に完成させることに求めます。救出をただ待つといった、あるいは、戦争終結まで生き延びるといった受身の姿勢ではなく、敵の仕事でも積極的に協力して、自分たちがこの戦争に関わった証を残そうとします。やがてそこに、敵味方の間を超えて、信頼関係が生まれます。人間は、たとえどんな状況でも、考え方を変えれば、生きがいや目的を見つけられるのかもしれません。しかし、こうして順調に進んだかに思えた仕事も、結局悲劇に終わり、戦争のむなしさを、よけい引き立たたせる結果ともなっています。 【パセリセージ】さん 9点(2004-02-03 00:55:09) (良:2票) |
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8.お互いの論理や正義、意地と誇りがぶつかりながら「戦争」という名の狂気が形作られていく様を押しつけがましくない演出でほぼ完璧に表現し切った戦争ドラマの大傑作ではないでしょうか。緊張感溢れる終盤の展開も素晴らしかったですし、分かるようで訳分からないラストシーンも実にこの作品にふさわしいと感じました。……ところでクワイ河マーチを初めて聴いた時「あれ?大脱走のテーマ?」と思ったのはもしかして僕だけですかそうですか。 【元閑人】さん 9点(2003-10-20 03:23:05) |
7.戦争は命や大切の物のほかに、こんなものまで奪うのかと思いました。自分に最も訴えかけるものがあった反戦映画。 【小美】さん 9点(2003-05-04 07:58:51) |
6.反戦ものですネ。最後はあっけなく決まってしまいますが、それまでの過程に昨今の映画では観られない細かい描写があります。 |
5.この映画より前のリーンの作品が比較的小品だとはとても思わないが、それでもこの作品で映画史上、深く名を刻んだことは間違いない。人の死をひたすらくりかえし描写して反戦を主張する手法(シンドラーのリストなど)と比べるとなおさら、この作品が持つ反戦への演出の独創性・説得性の高さを改めて感じる。 【EJR】さん 9点(2003-04-07 12:08:04) |
4.ラストは戦争のむなしさというのか、切ない気持ちがドドドと押し寄せてきました。アレック・ギネス、うまいです。ホント。口笛のメロディーも軽快に聞こえてたのに、今はどこか悲しいです。最近の戦争映画は、いただけないものばかりです。 |
【ビッケ】さん 9点(2003-01-30 14:02:37) |
2.すごいねぇー。ラストの爆発するまでのシーンはほんとハラハラドキドキしちゃった。なんかこうじわじわーっと凄さがくるっていうか、この映画のメッセージが伝わってきて鳥肌がたつ思いです。直接的になんだかんだ言ってるわけではなく、間接的にこうも反戦を訴える作品はなかったですねぇー。今の映画みたいに人を殺すシーンをあからさまに見せないんだよね。うむうむ。戦争映画の傑作間違い無し。 【あろえりーな】さん 9点(2002-08-03 01:12:14) |
1.今を去ること遙か昔(?),私が幼少の頃,初めて見ました。毅然としたアレック・ギネスと,相対する早川雪舟のこれまた絶大な存在感が妙に印象的でした。連合軍側のみのハッピーエンドものの戦争映画が当時結構TV放送され,子どもながら喜んで見ていた当時の私は,さぞかしいやな小学生だったことでしょうが,異色の戦争映画としてずっと気に留めていた作品がこれです。私の,リーン監督の作品との出会いは,その後「超音ジェット機(サウンド・バリアー)」「アラビアのロレンス」「ライアンの娘」「インドへの道」と続きますが,いずれも大きな構成感の中に,重いテーゼを盛り込んだ名作揃いで忘れ得ぬ作品ばかりでした。 【koshi】さん 9点(2001-11-02 20:48:04) |