2.《ネタバレ》 「大アンケートによる日本映画ベスト150」で名作とあったので観ることに▼いわゆる東映任侠映画を観るのはほとんど初めて。しかもこのシリーズ第六作は第三作の続編だったらしく、客演的な登場人物――特に若山富三郎――、分からない展開、そしてリアリティよりもストーリー進行優先で見せる場面には少々疎外感が。▼だが一方、「任侠映画の傑作」と言われることには心から納得▼固定カメラ、特にアップで映される藤純子は美しく、そのまま一枚のポスターにしていいくらいアングルが決まっている。加藤泰監督の特徴とされるローアングルも、その構図が作品に重厚感と安定感を与えている▼そして巧みな脚本。始めは小悪党にしか見えなかった敵役の一家はどんどん罪を重ね、最後の大立ち回りで滅んでいく。それは僕ら観客のカタルシスを見事に盛り上げてくれる。様々な魅力を持ったこの映画は、結果的に「観て良かった」と思える仕上がりになっている▼特にリアルタイムで観た人には堪らない映画のはず。一方、僕のように後追いで観るには、ストーリーや映画自体の時代背景など、予備知識が必要だし、知識があればさらに楽しめる映画だと思う▼「なぜ「趣味は映画鑑賞」と聞くと、高尚な趣味だと思うのか? それは、たとえ娯楽映画であろうと、趣味として幅広く観るにはそれなりの知識を必要とするからである」。この映画と直接関係ない、そんなことを考えた。