《改行表示》106.《ネタバレ》 「なぜジーンを産んだ」「(病気が)遺伝することは分かっていたのに」 この問いに対するセルマの「赤ちゃんをこの腕に抱きたかったの」という答え。コレとゆーのは、本当に人間のいちばん奥底にあるモノだ、とゆーか、人間からその人間性(善きにせよ悪しきにせよ)を根こそぎ奪い取ったとして、その最後に残っているのがコレだ、という様にも(私には)感じられたのですね。コレこそがヒトのヒトたりし最も美しい部分だ、と言っても好いものか、と(私としては)。私が今まで観た映画のどのシーンよりも美しいシーンだった、とも思います。本当に大好きですね。 今般、4Kデジタルリマスター版が公開されるってその予告編でドンピシャこのシーンが流れて、ついまた観に行ってしまいました。まあ、この肝心なシーンを予告編で流しちゃって好いのか?と思うトコロではありますケド。 【Yuki2Invy】さん [映画館(字幕)] 9点(2022-01-08 19:33:04) (良:1票) |
105.《ネタバレ》 自分の光を失っても、仕事を首になっても、殺人犯に仕立てられても、死刑の判決が下りても、息子の手術のために堪え忍ぶ姿に後半はもう号泣しながら観ちゃったよ。死ぬのは怖い。取り乱すのも分かる。でも息子の手術成功が分かって落ち着いて歌い始めるシーンは最高に胸を締め付けられた。良いところのなかったかのような彼女の人生だが空想シーン(ミュージカル)では心からの笑顔が観られたのが救いだ。そのミュージカルシーンも、他のミュージカル映画と比べたら十分寂しげであったが…好み45/50、演出11/15、脚本12/15、演技9/10、技術8/10、合計85/100→9/10点 |
104.『奇跡の海』を観て監督に興味を持ち、これを映画館に観に行ってしまいました。鑑賞後しばらく立てませんでした…。映画として賞賛致しますが何度もは観たくない作品です。こんなミュージカルは他にないでしょう。手持ちカメラ撮影の手ブレがひどくて観にくいですが、独特の効果を出しています。主人公にイラつく人は多いと思います。私もですし。重たーいお話が好きな人はぜひご覧下さい。 【movie海馬】さん [映画館(字幕)] 9点(2012-05-14 21:51:02) |
《改行表示》103.《ネタバレ》 賛否両論の代名詞のような映画ですが、自分は猛烈に「賛」です。救いようのない悲劇的な内容ですが、主人公は息子のために行動できたのだから、その意味では幸せだと思います。少なくとも自分は愚かな主人公だとと言って簡単に否定できません。音楽が素晴らしく、列車のミュージカルシーンは何度も見てしまう。映像も線路と青空の対比が美しく仕上がっています。 でもラストシーンは好きではない。テルマの幸せな夢を、最後にも見せて欲しかったと思うのです。 【ヒナタカ】さん [DVD(字幕)] 9点(2010-07-16 19:52:10) |
102.《ネタバレ》 舞台は差別が残る60年代のアメリカ、共産主義国チェコからの移民という背景が強く影響している。セルマは無学・無教養で愚かしいほど不器用にしか生きられない。遺伝で失明する運命が影を落とす。「子供を抱きたい」という本能で子を産む(たぶん私生児)が、子も失明する運命。子に手術を受けさせたい一心で、好きなチェコを捨てアメリカへ移民。仕事と子育てに邁進する毎日。行動力はある。しかし現実は厳しく、工場勤めと内職に追われる日々。子の誕生日にプレゼントもしないほど禁欲なので、母子関係はぎくしゃく。子は愛情に飢え、学校をさぼるし、「どうしてくだらないことばかり聞くの」とうんざり。愛情の空回りで、つい子を殴ってしまう。周りに親切な人が多く、好意を寄せてくれる男性もいるが、子の手術という望みしか見えない。唯一の楽しみがミュージカルで、レッスンにも通う。しかし歌も踊りもヘタ。苦しい現実から逃れたいときはミュージカルを空想。空想でなら美しく歌い、踊れるのだ。失明が近いと悟った彼女はあせり、レッスンをやめ、深夜勤務までするが、失敗して失職。その日隣人と秘密を分かち合うが、これが悲劇の序章。結果的にお金を盗んだ隣人を「依頼殺人」。取り戻したお金で、病院へ行き、子の手術の段取りを決める。裁判では、自分が不利なのに真実を話さない。お金を取り上げられてしまうからだ。死刑判決で恐怖におののくが、再審請求の道が開ける。が、弁護士費用で手術費用が使われると知ると拒否。死を選ぶ。すでに盲目となり絶望していたが、ミュージカルを歌うことで勇気を得る。だが死は恐ろしく、処刑台で卒倒。そこへ子の手術が成功したのを知る。自分の命と引き換えた唯一の希望が叶えられた瞬間、歌が美しい声となってほとばしり始めた。空想のミュージカルが現実となったのだ。「ミュージカルの最後の歌は聞きたくない」の言葉通りに歌は途切れ、命も絶たれた。だが、途切れた歌は、オープニングの音楽となってループし、またミュージカルが始まる。魂は永遠に子を見守る。愚かな選択だが、無償の愛を貫いた!子もいつかわかってくれると信じて。セルマの空想するミュージカルは明るく、生の喜びそのもの。不幸な人間の心の中にこれほどの「希望」が存在することが、理屈なしに魂をゆさぶる。プロットのアラがなければ、金字塔にもなれた作品。ビヨークの鬼気迫る演技、歌に終始圧倒された。 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 9点(2009-04-10 01:10:26) |
《改行表示》101.これ程レビューが書き難い映画は今までにありませんでした。なぜって映画のエンディングはセルマにとっては兎も角、観客にとっては余りにも辛い終わり方ですし、別段、観客に何かのメッセージ、テーマをはっきりと投げかけてくる映画でも無い。そこにあるのは憐れで不幸な一人の盲目のダンサーの人生だけです。 しかし日常に溢れるリズムに合わせ、妄想の中で踊るセルマは美しく、素晴らしいビョークの歌声、名演は私の胸を打ちました。どれだけ人生が酷くとも、そこに音楽と息子が存在すれば彼女は生きていけたのでしょう。良い映画か悪い映画か意見が分かれるのは当たり前だろうけど私はこの映画は傑作だと思います。この映画に出会えて良かった。 【民朗】さん [DVD(字幕)] 9点(2008-10-26 14:47:51) |
100.《ネタバレ》 ◆久しぶりに、胸がしくしくと痛んで、もう二度と見たくないと思える映画を見ました。◆この映画のいい点は、映画の中での事実とセルマの空想とをしっかりと区別しているところだと思います。セルマに起こる悲劇的な事実は、色を抑え目にして手持ちカメラで撮影しているのに対して、セルマの空想は色をはっきりと使い、固定のカメラで撮っています。それによって事実と空想との区別をはっきりとつけています。◆その区別が生きてくるのは、後半です。セルマが独房に閉じ込められ、無音の中で刑の執行延期の連絡を待つシーン。セルマにとって空想をかきたてるような音は聞こえてきません。彼女はその中で自ら独房の中で音を出し、空想の世界に無理やり浸ろうとします。しかし、死刑への不安と、独房の静けさによって、彼女は自ら歌うことによって空想に浸らなければならなくなってしまいます。この時、撮影手法と色の明るさとが不安定になります。そして、不安に駆られながら『My Favorite Things 』が歌われます。これほど、この歌の持っている雰囲気と現実とのギャップを感じ、また、これほど歌の内容と事実とが調和していることを感じたことはありませんでした。◆このシーンを見れただけでも、この映画は十分に主張していると思います。◆そして最後の刑執行のシーン。現実の中で彼女は歌います。事実と空想とがカオスとなって、彼女の最後から二番目の曲が中断されます。その後はただ事実だけが淡々と続いていく。◆正直、二度と見たくない映画の一つとなりましたが、無駄なシーンが無く、撮影手法も練りこまれており、ストーリーも最後まで飽きさせませんでした。 【もりたろう】さん [DVD(字幕)] 9点(2008-01-04 06:37:51) |
99.ビョークって誰だか知らずに招待券を貰って観に行った。帰りにCD買って帰った。 【SAS30】さん [映画館(吹替)] 9点(2007-07-30 17:44:07) |
98.《ネタバレ》 私にとっての[幸せ]とはどれだけ自分の意思を貫くことができるか、というのが基準になっている。周りからはどんなに不幸に見えても、自分の意思で全てを決め、それによって起こる全ての出来事を受け入れることができれば、それはどれほど幸せなことだろうと考える。セルマは自分の意思で息子を助けたいと思い、自分の意思で死刑を望み、死を(最終的には)受け入れた。周りから見たら100%不幸にしか見えないかもしれないが、彼女にとってそれが何だというのだろう? 【mono】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-12-20 03:48:06) |
97.《ネタバレ》 徐々に、しかも確実に視力が失われていく恐怖は想像を絶するものがあるだろう。 一人息子もまた、同じ運命をたどるとなれば、もう現実から逃げ出したくなってしまうのは良く分かる。 セルマは、そんな人生に対する不安や、息子ジーンに対する責任、果ては自分の気持ちまでも、貯めたお金とともにドロップの缶に封じ込めてしまったのだろう。 そしてその缶にしがみつくことで自分を納得させながら、自分だけの夢想の世界に入ってしまったのかもしれない。 彼女は「ミュージカルの最後の歌は聴きたくない」と言うが、これは「物事を締めくくらずに逃げる」という彼女の精神構造を表していて、実際作中でも、「ビルのついた嘘」から、「キャッシーの友情」から、「ジーンに対して親として生き抜く責任」すら放棄して逃げている。 どこかで逃げずに立ち止まっていれば、何かが変わっていたかもしれないのに・・・。 まだ終わりじゃないと言う結末も逃避的。 それが結果、そこで全て終わりなのだ。 セルマという女性の愚直な純粋さと現実とのずれが、取り戻すことの出来ない大きな歪みとなって重く心に突き刺さった。 繊細な彼女の精神世界には多くの感情を喚起され、揺さぶられた。 辛く苦しい作品だが、傑作だと思う。 【Beretta】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-06-17 03:05:54) (良:1票) |
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《改行表示》96.《ネタバレ》 息が詰まるような140分でした。もうひたすら絶望的な物語がドキュメンタリー・タッチで描かれていきます。セルマ役はもうビョーク以外に考えられないという位ハマリ役で、息子の眼を治すという最後の希望のために、あえて死刑を選ぶ姿に非常に心打たれました。 映像が非常にドキュメンタリー・タッチでリアルなので、ビョークの美しい音楽に救われる部分が多かったです。ミュージカル部分が無かったら、後味最悪の映画になっていたでしょう。(もうエンディングなんて心臓止まるかと思いました。) しかし、ビョークが凄い魅力的でしたね。凄く美しいというわけではないのですが、シーンによって様々な表情を見せてくれるので、最初から最後まで惹きつけられっ放しでした。 【TM】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-04-30 19:22:07) |
95.《ネタバレ》 大好きな歌の世界に浸っていたのだから、最後のセルマは幸せだったに違いないと思う。そう思いたい。そうとでも思わなきゃやってられん。余談ですが、ラストがあまりに衝撃的すぎてそのあとのメッセージなんてとてもまともに読んでられないんですけど(笑)。 【とかげ12号】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-10-26 21:51:34) |
94.《ネタバレ》 この映画はレビューが多い上、点数が2極化している。良いにつけ悪しきにつけ印象に残る映画だったってことでしょう。結局そこを分けるのは、あの悲惨なストーリーとは別に子供愛を読み取れるかどうかではないでしょうか?ストーリー負けした人は0点や1点をつけるんでしょうね。個人的には泥棒との約束を貫くセルマの素直さ、自分の命を捨ててまで、子供の目を治してあげようとするセルマの愛に純粋に感動しました。 |
93.素晴らしかったです。映像といい、音楽といいなにかとこっていたいた気がします。悲しい話なんですけど、そこらへんの薄っぺらい作品よりも断然観る価値があると思います。衝撃作です。 【アンリ】さん 9点(2004-09-17 17:53:33) |
92.見る価値は十分にある映画だと思います。ミュージカルにしたのは絶対に大正解! |
91.私にはセルマが自ら命を絶ったように思えた。彼女は自分には未来が無い、現実世界には見るものが無いと歌っている。心に響く映画。 【なつもも】さん 9点(2004-05-06 20:18:19) |
90.セルマは、ビョークにしかできない役でしたね。ラース・フォン・トリアーらしい徹底した「アンチ・アメリカ映画」なのに、最もアメリカ=ハリウッド的であるはずのミュージカル・シーンが、躍動感に溢れて、とにかく美しかった。見終わって、他人に薦める気にはとうていなれないけれど、自分のなかに、いろんな感情が溢れてくるのを、じっと味わいたくなる不思議な作品。 【ころりさん】さん 9点(2004-05-06 08:42:57) |
89.《ネタバレ》 サディスティックなまでに人間の弱さ、愚かさ、醜さを観るものに突きつける作品。それをミュージカル仕立てで作る、というアイデアは「悪魔的」と言う他はない。そして、歌姫ビョークを得たミュージカルのシーンは、これまでに観たどんなミュージカルよりも圧倒的で印象的だ。そのビョークが演じるセルマが、すべてを引き受けて殉じる、衝撃のラスト。ビョークを使うのなら、別の終わり方にして欲しかった。身体的にも精神的にも後味はものすごく悪い。でも、傑作と言わざるを得ない。 【xr4000】さん 9点(2004-04-17 08:56:54) |
88.何度観ても後味悪いです・・(-_-)ミュージカルシーンは何度でも見たいです!! 【メルモ】さん 9点(2004-03-10 22:54:21) |
《改行表示》87.これは裏サウンドオブミュージックでしょう。 あちらは音楽を通して人々を幸せにして、多くの人々を結び付けていく世界が描かれているが、しかしこちらは、唯一の趣味のミュージカルに興じても、脳内ミュージカルで現実逃避を図ったとしても、結局は逃避でしかなく、現実を解決できるわけでもなく、その現実という救いのない世界が襲い掛かってくる。 現実逃避しか出来なくて、病気が遺伝すると分かってても子供を産んでしまった弱い主人公だが、その責めに対して、逃げることなく自分を賭して、最後まで自己犠牲的な愛を貫いている、それが唯一の救いと言えようか。 ドヌーブの「必要なのは母」というセリフに対して、「必要なのは眼」と主張している。手術をしなければ自分と同じ道を辿るであろう運命に対して、母(現実での逃げ)よりも眼(未来)という結論こそ、セルマの見出した答えじゃないのか。 映画としては、つらい内容なので評価は別れるだろうが、他の映画とは一線を画すセンス、衝撃的なラスト、線路や稽古場で警官に連れられていくシーンなど評価すべき点は多い。 この映画を見て嫌な気分になった人は「サウンドオブミュージック」でも見て中和することを薦める。 【六本木ソルジャー】さん 9点(2004-02-22 02:44:58) (良:1票) |