1.《ネタバレ》 いまんとこ本格SF映画でエスねこ的に最高得点を取っている作品。クライトンの原作は最悪の駄作だと思うけどね。主役3人のキャスティングで成否が分かれるところだが、ハリウッドらしさの少ない俳優を配した点が功奏したと思う(正直、シャロン・ストーンよりはブリジット・フォンダにやって欲しかったけど)。次に全体構成。監督レビンソンはかなり『2001年宇宙の旅』を真似ている。誰もいないセットをひたすら映し、あたかも誰かがいるかのように思わせる手法はキューブリックがHAL9000を表現するのに使ったソレと同じ。後半はシーンの連続性を敢えて断ち切るようなフィルムの繋ぎ方をして、なおさら観客を混乱させるが、これはラストで「何か(結局それは自分自身なのだが)」を精神分析し、治療を試みる際の描き方で最高潮に達する。キューブリックが描いたのが迷わずアッチの世界へ逝ってしまった一人の人間だとすれば、レビンソンは地に足をつけて頑張り続け、観客ともども現実へ引き戻そうと努力を重ねる。それが実ったかどうかは…もちろん、あのラストは「現実じゃない」かもしれないのだ。いやシナリオ的には間違いなく現実なんだろうが、演出はそれを拒否している。ああいう風に描くのが、レビンソン流の「スターゲート」なのかもしれないな。