16.《ネタバレ》 個人的に戦争映画にハズレなしのキューブリックだが、フィルム・ノワールでも凄い映画が1本、コレだ。
競馬場を襲い現金を強奪するまでの流れを遡り、スリリングに描いた傑作「現金(ゲンナマ)に体を張れ」。
見えない大金という“太陽”を見つめすぎた男たち、女たちのドラマだ。
ジグソーパズルを組むように時系列を追う流れは、後のクエンティン・タランティーノの「レザボア・ドッグス」に影響を与えた。
とにかくこの映画、ムチャクチャ面白い。
キューブリックの映画でもっとも女性が印象的な映画だろうね。
ファーストシーンは競馬場からはじまり、コレから強盗を強行しようって場面で、物語は強盗にかかわる様々な人間の過去をさかのぼりはじめる。
ピースが徐々に繋がっていく感覚、
男たちを運命に引きずり込むそれぞれのファム・ファタール。
それとモリールのオッチャンをはじめとする死亡フラグ。
そして冒頭と終盤が繋がる瞬間、総ての歯車が動き出す!
検閲所での粋な会話、
蹄鉄によるパンク、
一瞬で終わる銃撃の迫力とクライマックスの畳み掛けは凄いぜ。
ラストの“太陽”を吹き飛ばしちまうのが犬とはねえっ・・・。
エリッヒ・フォン・シュトロハイムの「グリード」やジョン・ヒューストンの「黄金」を彷彿とさせるシーンだった。
その時のスターリング・ヘイドンの 「(・_・)」って表情がまた。