2.《ネタバレ》 先行きが不透明な日本という国に生きる者として、この作品は非常に身につまされるテーマを扱っており惹き付けられました。自己実現を第一に人生を送ってきた主人公の老人の姿はまさに現代の日本人である我々の象徴であり、その我々が将来どのような状況に陥るかをこの作品は示してくれています。
ただ、このようなヘヴィなテーマであっても、これまで日本映画を支えてきた名優たちが演じているのですから面白くないわけがありません。特に、仲代達矢のクソ爺ぶりは本当に素晴らしかったです。
そして、3月11日の震災で大きな被害を受ける前の東北(気仙沼・唐桑町他)の姿も映し出されており、そののどかな風景が一瞬にして失われたことの恐ろしさを痛感させられました。また、主人公たちの家族がバラバラになった原因が大津波によって家が流されてしまったことにあるという設定(当然、この作品は震災前に作られたものです)が非常に重く感じられました。映画の中で、何回か出てくる鹿折唐桑駅も大津波の被害にあい、その姿を変えてしまってます。
今、多くの人に見てもらいたい作品です。