1.《ネタバレ》 [2018-01-07 BD視聴による修正] 原作は読んでいない。世間では「のだめカンタービレ」のキャラクターを真似ていると指摘されていたようだが、自分としては「のだめ」のコミックは全巻読んだが映像化されたものは見たことがない(見る気がない)ので気にしないことにする。
この映画に関しては、初回は宴会後に帰宅してから見て序盤から大笑いしたが、酔っぱらっていたため13分くらいのところで寝てしまった。しかし次の日に改めて見たところ、素面の状態でも序盤から大笑いしたのでこれは本物だと確信した。とにかく最初から最後まで笑える泣けるの大感動作で、細かいネタが連続して飽きさせず、ある意味しっかり作り込んだ映画と感じさせる。終盤では次第に泣かせる場面に移行しているのにまだギャグネタを出してきて(黒ネコは好きだ)、笑い泣きしながら感動のフィナーレに突入するのは最高の幸福感を与えてくれる。
登場人物に関しても、ヒロインが超素朴で悪気がない(変な色気もない)ので純粋な好意を寄せることができる。相手の男もいい奴だったようで安心したが、そのほかヒロインのまわりが自然にいい人たちで固められていくのもいわば人徳のおかげだろう。一つだけ障害のように見えた元彼女にしても、ヒロインが善人のため対立関係にもならず、かえって元彼女の方がかわいそうになったが、しかしこれはヒロインのまっすぐさには誰も勝てないという教訓かと思われる。
ちなみに主演女優は映画初出演とのことだが、この場にふさわしい人物像が適切に表現されていて全く問題を感じない。視覚的にも彩度の高いポップでファンシーな映像によって映画の世界観が端的に提示されている。また音楽としては懐かしめの「愛のしるし」(1998年、PUFFY)が印象的に使われていたが、エンディングの主題歌も切ない感じの曲で好きになった(「フォーリン・ラブ」(2011年、7!!))。
以上により、意外に自分の人生を豊かにしてくれる映画を発見した、というのが初見時以来の実感である。少なくともこれまでの経験では、少女マンガ原作でこれほどしあわせな気分になれる映画は他に見たことがない(脚本が福田雄一というのと関係あるか)。当初段階で9点などという破格の点数を付けてしまったので、いずれ見直しが必要かと思っていたが、改めて見ても修正する気にはならなかった。