13.《ネタバレ》 マギー・チャンと言えば、『ポリス・ストーリー』のヒロイン、、、というのはもう大きな間違い?
移り変わる時代背景の中で、男女の恋愛を描く物語と言えば、日本でも昔、『十年愛』なんてドラマがあったし、ハリウッドの『恋人たちの予感』も似たような感じだったかな。
近づきつつ何処までも擦れ違う2人、、、という最後の方の展開も、80年代後期のトレンディドラマ『君が嘘をついた』の最終回を彷彿とさせる。とは言え、これはもう携帯電話の時代には有り得ないシチュエーションなんだろうけど。
そんなイメージで観れば、『ラヴソング』という物語もベタな邦題に違わない、何てことない10年越しのラヴストーリーに過ぎないんだけど、でも、惹きつけられるものがあったのは確かなんだなぁ。
その要素の一つは、ヒロイン、マギー・チャンの個性なのだと僕は思う。彼女は決して可愛い子ちゃんではないし、特別に美人でもない。けど、その表情には言い知れぬ感情を秘めた独特の憂いがあり、その立ち姿には意思の通った芯の強さがある。そして、彼女の容姿から立ち上るのは、媚や理知というよりも、情の深さである。博愛である。
この映画には印象的なシーンが多い。自転車の二人乗りで語り合うシーン、初めてのキスシーン、新年の挨拶を交わすシーン、背中のミッキーマウス、海水パンツ、車のクラクションからのキスシーン、タイムズ・スクエアで自転車の野菜配達(?)、そして、N.Y.での偶然の再会から、香港での運命の出会いへ。それこそベタな恋愛的アイテムの寄せ集めとも思えるけど、こういう見せ方をある意味で「王道」というのかな。
最後に、偶然の再会から、運命の出会いへ。その可能性こそがこのラヴストーリーのベースであり、バックグラウンドとなっていると感じる。それがこの映画に惹きつけられた一番の理由かもしれない。