4.イギリスのラブコメ職人、リチャード・カーティスがユーモアと感動にあふれた素晴らしい人生賛歌を撮り上げました。
主人公の青年は祖父、そして父から過去にだけタイムスリップできるという特殊な能力を受け継ぐ。
この能力を背景に、一目惚れした運命の女性に対し「あっ!だせえな俺。やっちゃったなあ…。」と思ったら、
そのちょっと前に戻って今のとこ、もう1度やり直し!という展開が続く前半はちょっとドタバタのラブコメといったところ。
笑いドコロも十分です。しかし彼がその女性と結婚するあたりから、少ししんみりとしますが、
登場人物ぞれぞれの色んな家族愛と人生賛歌のドラマへと、実に自然に作品の空気を入れ替えていく。
主人公の男にこの特殊能力を決して無駄遣いさせないのがいい。
愛する女性のため、愛する家族のため、彼は過去と現在を行き来します。
後半から終盤は、こういう家族のドラマには滅法弱い僕ですが、本作に関しては涙は出てこなかった。
それは本作の持つ独特の清々しさや、終盤のしんみりとした空気の中にも、本作の根底にあるユーモアの精神が常にあったからだと思う。
何気ない日常の中にあるささやかな幸せというものを感じさせてくれる、作品の中の空気のブレンド具合も見事な作品でした。