5.40年前(1977年)にスタートし、「本邦初のスペースオペラ」と言われた原作は、後に「機動戦士ガンダム」で名を上げる安彦良和の挿絵の魅力との相乗効果で人気を博す、今でいうライトノベルの走りでもありました。本作はその安彦良和と原作者の高千穂遙が中心となって制作され、「大人気小説がビジュアル的にも内容的にもその魅力をまったく損なうことなくアニメへと変換された」という、日本サブカル史上他に類を見ない名作です。
原作自体、複雑なストーリーよりも主人公たちの痛快な活躍に重きを置いていた作品で、アニメではその”痛快な活躍”が天才アニメーター安彦良和によって存分に描き切られています。とにかくキャラクターが動く動く…日常的な芝居から画面狭しと暴れまわる戦闘シーンまで、キャラの喜怒哀楽、指先の微妙な表情、かっこいいアクションが心行くまで堪能できます。
また最近知ったのですが、本作の大きな目玉である宇宙船や戦闘機の空中戦を中心とするメカアクションを手掛けていたのは、これまた後に「超時空要塞マクロス」において「板野サーカス」と呼ばれるアクロバティックなアクション描写で一世を風靡した板野一郎。「(アニメなのに)被写体の動きが速すぎてカメラが追いきれない(ように見える)」という斬新な描写は、すでに本作でその萌芽を見せています。まだ少年だった僕は「なんかわからないけどこんなの初めて見た!すげーかっこいい!!」と興奮したものでした。
当時本作は、全盛期の栄光はとうに失ったもののそのネームバリューはまだ強かった「宇宙戦艦ヤマト完結編」、大正義角川映画が宣伝にも力を入れた「幻魔大戦」と同時期公開となり、興行収入で両者の後塵を拝しました。しかし、乏しいお小遣いをやりくりしてリアルタイムで鑑賞した小学生の僕は「これを選んでよかった!」と大満足でしたし、その思いは自由に全作品を観られるようになった34年後の現在も全く変わっていません。