19.《ネタバレ》 ロバート・デュバルがどこで出てくるのかが気になって一気に見てしまった。その点ではハラハラ、ドキドキさせられた。まさか、主人公を襲う集団の一員では、いや、法廷での陪審員の目立たない男か、あるいは、もう出てきたが見失ったか。緊張感は最高潮に。そして、遂に登場。な、何と、ミスター・ブーだった。見事などんでん返し。ブーは絶対に太った中年の男だという先入観で凝り固まっていたようだ。うーん、心地よい敗北感みたいな余韻。 【パセリセージ】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2019-07-19 16:50:33) |
《改行表示》18.《ネタバレ》 グレゴリー・ペックの演技がとにかく最高。 ジョン・フランケンハイマーの「I Walk the Line」やラオール・ウォルシュの「艦長ホレーショ」「世界を彼の腕」に並ぶベスト・アクト。 個人的には「拳銃王」や「廃墟の群盗」「無頼の群」「白昼の決闘」のようなアウトロー役も好きだが、ペックはやっぱり冷たいようで本当は根が厚い正義漢が一番。 「ローマの休日」みたいな王女のスキャンダルを書いてやろうと思っていたら、何時の間にかその人柄に惚れて助けたくなってしまった・・・そんな感じこそ俺にとってのペックなんだ。 「大いなる西部」のようないかにも正義感の塊というペックは好かない。 この「アラバマ物語」は、ホームドラマとしても、一つの法廷劇としても見れるこの映画。 前半は弁護士の父親と家族の団欒、父親が扱う事件を巡ってのトラブルなどなど、実にアメリカらしい社会背景が詰まっている。 そして子供たちの小さな冒険譚。 内容はてんこ盛りだが、ストーリー自体は淡々と事を運んでいく。 裁判のシーンは少し長め。 事件の真相を探っていく内に、差別や貧困といった問題も絡んでくる。 最後まで戦い抜いた父親だが、待ち受ける顛末は残酷なものだ。 ただ、ラストでちょっとした奇跡が待っている。 心の暖かい人間ドラマです。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2014-11-08 19:07:22) (良:1票) |
《改行表示》17.《ネタバレ》 原作者が少女時代を振り返るという設定。郷愁とは不思議なもので、米国の田舎町の物語なのに、子供たちが遊んでいる姿を見ると郷愁を覚える。このことがこの映画を親しみやすいものにしている。誰でも子供時代の思い出は宝物だ。 主人公スカウトは直情径行型。何でも思ったことを口にするし、納得できないことに対しては抵抗し、喧嘩も辞さない。父親似です。見ていて清々しい。子供の世界は世情の動きに関係なく、周囲の大人から守られています。ですから天真爛漫に振舞えるのであり、それを見る我々も癒される。それでも大恐慌の影響は忍び寄ってきていて、お金のない人や子供が登場する。少女は少しずつ厳しい現実を知って成長していく。前半のブーの居る隣家への冒険は重要な伏線。あれがあるのでブーは子供達のことを知り、好きになり、宝物を密かに贈る。ここで絆ができる。厳しい現実の最大のものは、無実の黒人が「白人娘強姦」で有罪にされること。公民権もなく、黒人差別が当たり前の時代ではよくあること。真相は娘が黒人を誘惑したのを知った父親ユーエルが娘を殴った。子供の世界から、法廷劇へと移るので少々とまどった。子供は裁判所に入れないはずだが、目をつぶる。少女は、白人から嫌がらせを受けながらも正義を貫く父親の姿に感動する。退出時黒人達が敬意を表して立ち上がるのは誇らしい。その後、被告は逃走して射殺されるというショッキングな出来事が起こる。そして最も長い夜が訪れた。裁判で嘘を暴かれたユーエルは逆恨みして、卑劣にもスカウトと兄を襲った。原作ではナイフを所持している。それを助けたのは、それまで姿を現さなかったブーだった。ユーエルはブーに刺殺される。保安官と父親は協議して、ユーエルを事故死として扱うことにする。正当防衛だし、内気すぎて世間の目に晒すのは不憫だし、責任能力もなさそうだ。少女もこれに同意する。「妥協とは話し合いで分かり合うこと」という父の言葉を理解したのだ。そして「相手の立場になるとは、相手の靴を履いて歩き回ること」と教えられたが、ポーチに立っただけで理解できるまでに成長した。「良い音色を奏でるMockingbirdは決して殺してはならない」のMockingbirdはブーのこと。ちなみにスカウト達は一度黒人の命を救っている。白人達が留置所の黒人を襲おうとしたときに、割り込んで入って、一席ぶったあの場面だ。 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 9点(2012-12-21 00:41:24) |
16.《ネタバレ》 「バニラ・スカイ」で理想の父親像として本作のグレゴリー・ペックが出てきた。その時はこっちを観てなかったから、よく分からなかったけど、観たら納得。グレゴリー・ペックが演じる弁護士のアティカスは優しいお父さんというだけでなく、常に正義を貫こうとする。人のあり方として最高のお手本の背中を見て育った二人はどれだけ幸せだったろうと思う。この映画を観る側としては裁判で勝利するより、負ける方が人種差別の愚かさをより感じるし、心に残る。時代を考えればこの映画が持つ意味は大きい。前半の子供たちのちょっとした冒険は意味があるんだかないんだかよく分からないけど、妙に懐かしく感じるせいもあって、決して嫌いではない。若き日(といっても30くらいだけど)のロバート・デュヴァルも素晴らしい。 【リーム555】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2011-10-30 19:05:10) |
15.アメリカ映画、全盛期の頃の本当に良い映画って感じの素晴らしい作品!黒人と白人との人種問題について真剣に取り組みながらきちんとした家族の物語として描いたこの作品、人種差別と偏見とは関係ないような暴力への追放問題、人としての正義感溢れるグレコリー・ペック演じる弁護士、アティカスの家族への愛と優しさ、そして、黒人だろうが白人だろうがどんな人種でも、皆、一緒!同じ人間なのだということを問う。裁判シーンでの緊迫感、俳優の演技、どれもこれも素晴らしく、人間ドラマとしての完成度は相当のものだと思います。冒頭に出てくるブーという男を演じたロバート・デュバルの存在感、演技、やはりこの俳優、ただ者ではない素晴らしさです。そんなロバート・デュバルとグレコリー・ペックが握手するシーンは感動的であります。窓越しに娘を抱く優しき父親のアティカスと娘の演技も感動的!この映画を観て、なるほど!何故、この映画のアティカスがアメリカ映画協会が選んだナンバーワンのヒーローなのかということが納得しました。 【青観】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-06-11 19:19:20) |
《改行表示》14.《ネタバレ》 本当にすばらしい作品でした。グレゴリー・ペック演じるアティカスは、威厳があって尊敬できしかも愛情を注いでくれるまさに理想の父親ですね。 当時の黒人差別が根強い中でも、周囲に流されず自分の職務を忠実に全うする姿は非常に感銘を受けました。 まあ、あとはブー・ラドレーですね この作品は。イギリスのバンド「The Boo Radleys」の名前はここから付けられたのか、と思うとちょっと感動しました。(Wake up it's a beautiful morning♪♪) それと、おてんばな娘役の子がとても可愛いです。(HAMの仮装がたまりません。) 【TM】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2006-04-16 22:14:22) |
13.他の方も言及されていますが、2003年アメリカ映画協会でアメリカ映画ヒーロー第一位に選ばれたのが本作の主人公。てなことでバリッバリの差別告発社会派ドラマかと思いきや、良い意味で裏切られました。大恐慌時代のアメリカの田舎町における日常が子供の目を通して淡々と、しかし陰影を湛えて描かれていて、派手さはないものの観た後深い余韻が残りました。余談ですがこの作品で何度も繰り返される印象深いメロディ、あれって「この森で、天使はバスを降りた」の音楽に似ていた気がするのですが気のせいでしょうか?そういえばこの作品の「ブー」と「この森~」の「ジョニーB」のキャラクターにも似通った点が多いように思えました。 【ぐるぐる】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-03-25 14:27:10) |
12.《ネタバレ》 古き良きアメリカの見本。子供時代親からの影響と言うのは計り知れないものがあると思いますがこのリベラルな父親アティカスに育てられたジェムとスカウトは良い大人になるんだろうなぁと想像が出来ます。そこにメイドのキャルという存在も忘れてはなりません。母親みたいにスカウトを躾る彼女の姿が素晴らしかった。ここはこの黒人メイドを単にメイドという枠に捉えず母親っぽさを演出した監督の力量でしょう。問題の裁判シーンではこのバカ親娘の三文芝居をどこまで聞いてやらなきゃいかんのかと憤然としてしまいました。話なんて見え見えで父親と娘が近親相姦というタブーを犯しただけだとすぐに分かった。そこに黒人のトムという青年はそいつらに”はめられた”だけであってそれに同調するかのごとく陪審員も有罪を言い渡したが、時代背景と南部という土地柄上仕方が無い結末だったと思う。それにもしトムが無罪だったとしても私刑による”死”は免れなかっただろう。全編子供の視点から親と社会を垣間見成長していく過程を捉えたこの作品はまさに秀逸と言えます。 【tetsu78】さん 9点(2004-07-01 01:23:43) |
《改行表示》11.力強く信念を貫く優しい父親アティカスが、2003年に「最も偉大な映画のヒーロー」として選ばれたことは、こんな世情だからこそ、本当に喜ばしいことだ。 「相手の靴を履く事」言葉でいうのは易しく、実行は困難を極めるこの言葉を、体現してみせる父親を持つ、スカウトは本当に幸福だと思う。 人種差別を扱った法廷もの、ではあるが、重苦しくなく爽やかな感動を呼ぶという稀有な作品。 【poppo】さん 9点(2004-05-18 12:20:53) (良:1票) |
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10.《ネタバレ》 フィンチ弁護士を演じたグレゴリー・ペックの威容と言っていいほどの貫禄と父親としての温かみが素晴らしかったです。フィンチ弁護士の論理は作品中で見る限り完璧だと思います。幼いスカウトは裁判の内容や父の論理を理解できるような年齢ではありませんが、それでも父親の正しさと勇気には触れることができ、また、努力にも関わらず敗北を喫した父親に黒人席全員が立ち上がって敬意を表したことで、きっと真の正義の観念が心に植え付けられたことでしょう。ただ、「誰かが汚い仕事をしなければいけないの。それがお父さんの役目だったの。」と兄妹に語った女性の言葉には納得できませんし、少なくともスカウトは納得していません。アメリカで今でも人気のある小説”To Kill Mocking Bird”の日本語の題名が「アラバマ物語」だということをこのサイトで知り、すぐに近所の図書館でビデオを借りてきました。子供のころ両親が購読していた「暮らしの手帳」の自社広告で、”つなぎ”を着たスカウトの写真と「貧困と無知のせいで強姦犯人にされた黒人が云々・・・。」という説明が全く一致しなかったせいで「アラバマ物語」のタイトルが印象に残り(「強姦」なんて言葉、当時理解していたのかどうか・・・?)、昨年グレゴリー・ペックが亡くなった際、彼が主演だった名作の一つとして紹介されたことで”To Kill Mocking Bird”に関心を持ちました。刑事がフィンチ弁護士に恨みを持つボブ・イーウェルが自殺したと知らせに来て、スカウトが「モッキング・バードを殺しちゃいけないんでしょう。」と父親に言うラスト近くのやりとりで誰がジェムに怪我をさせ誰が兄妹を救ったのかわかりますが、原作にはないスカウトの台詞は8歳にしてはちょっとかしこ過ぎるのではないでしょうか・・・。それにしても、フィンチ弁護士が言うとおり、人を見かけや噂だけで判断するのは間違っています。 【かわまり】さん 9点(2004-03-13 07:15:53) |
9.《ネタバレ》 父に無理やり見せられました。すごくまじめで重い映画かと食わず嫌いしていましたが、面白くて見やすくて一安心。多分皆さんの言うとおり子供の視点から描いているからでしょうね。最後子ども二人が襲われるシーンも、「ハム」のおかげでかろうじて凄惨さから救われている気がします。(ハムは最初大笑いしました(^^))ところで、後七人で平均点ランキングに入れますねー、もっとこの名作、多くの方に見て欲しいです。今回は真面目にコメント。 【かなかなしぐれ】さん 9点(2003-10-18 17:37:29) |
8.《ネタバレ》 黒人差別を取り扱っただけに話は重い。時代が時代だからとも思うけど、陪審員制ってなんだろうと思わされた。あれだけ無実の条件がそろっているのに有罪って・・・傍聴者も裁判官も陪審員でさえ無実は分かってたんだろうに。それでも有罪にしてしまう不条理さ。しかしそれもその時代の現実だったんだろうと思うとやりきれない。話のメインはこの裁判シーンにあるが、その後ラストも印象的。この結末は晴れやかではないが、素直に受け入れられるし、納得してしまう。それはこの物語の持って行き方や、主題が良く表現出来ていたせいかもしれない。 【智】さん 9点(2003-09-28 02:08:57) |
7.しみじみとした素晴らしい映画。英語の勉強のために読んだ原作に感動して見ましたが、原作の素晴らしさを見事に生かしていました。私は「ローマの休日」を見てグレゴリー・ペックの演技が大嫌いになったのですが、この映画を見て、その評価が180度変わりました。文句なしです。ペックはほかにも「紳士協定」と「ブラジルから来た少年」が最高に面白いと思います。 【チョコレクター】さん 9点(2003-07-05 19:23:10) |
6.良い映画とはこういうものだと、しみじみ感じ入った。それは良い原作があってのこと。黒人問題という重苦しいテーマの中で、主人公の少女とロバート・デュバル演じる「ブー」との静かな交流が心の慰めになりました。ディル少年が幼き日のトルーマン・カポーティだったと知り、ひとしお感慨が。 【ブタ子】さん 9点(2003-03-11 12:21:12) |
5.良い映画です。学生の頃観たのですが、G・ペックのような父親になろうと誓ったもんです。そんな自分も現在、ジェムと同じくらいの年頃の娘が。(笑)娘から社会の理不尽さとかを問われる度に、この映画のG・ペックの顔が想い浮かびます。なので、嘘やごまかしは無しに、一生懸命に答えている。娘や息子から弁論ばかりで喧嘩とか弱そうと思われていたであろう父親が、狂犬病の犬をライフルの一撃で倒すシーンが印象的。眼鏡を外して、慎重に狙いを付ける仕草がいい。 【バイクボーイ】さん 9点(2003-02-13 19:41:15) |
4.原作はジャーナリストの夢であるピューリッツァー賞も受賞したハーパー・リーの小説「物真似ツグミを殺すには」。地方色を丹念に描写することに出色の冴えを示すロバート・マリガンが監督し、見事主演のグレゴリー・ペックにオスカーをもたらした社会派ドラマの傑作。ペック扮するやもめの弁護士が、偏見と差別が根強く残る南部の州アラバマでレイプ容疑の黒人を弁護したばかりに白人からも軽蔑の的になる、という何ともやりきれない展開は背景が世界恐慌の吹き荒れる1930年代であることも相俟って余りにも重苦しい。が、それを辛うじて救っているのがメリー・バダム扮する娘スカウトの存在。彼女と怪しい隣人ブー(ロバート・デュバル)の仄かな交流がラストの伏線になっているのもニクイ。オスカー助演女優賞ノミネートは伊達ではないと納得させる好演だった。余談だが、彼女の実兄が後に「サタデー・ナイト・フィーバー」や「ブルーサンダー」といった話題作を手掛けることになる監督のジョン・バダムである。 【へちょちょ】さん 9点(2003-01-30 11:53:10) |
【ブッチャ】さん 9点(2003-01-19 14:03:07) |
【ぷっきぃ】さん 9点(2002-10-20 23:28:52) |
1.難しい問題を扱っているのに品の良さが失われていない。見終わった後の後味も暗い内容なのに悪くない。ただ感動して涙が出るのとも違う、それよりももっと深い感傷を与えてくれる映画。 【INOU】さん 9点(2002-03-23 18:44:00) |