10.《ネタバレ》 ようやく、まともに見れる日本の「ゴジラ映画」ができました。
モノクロの1作目のカリスマ的な価値と比べるのはやめまして、今回は初めてリアルな
国産モンスターパニック映画の成功例として、讃えたい。
へんな地球防衛軍とか出てきませんし、ゴジラの戦闘力も控えめで、人間側にも分があるバランス。
こういうのでイイんです。どこにも弱点が無いと、勝つために荒唐無稽な絵ばかりになる。
米軍が傍観者になり、軍隊の無い敗戦直後の日本に何ができるのか? ゴジラが強すぎないから
こその、リアルな闘いの絵になる。
人間側の物語に、敵前逃亡した特攻隊員の苦悩と、身を寄せ合った疑似家族の絆を中心に
戦後の復興期の昭和の世界観をこれまたリアルに描いていて素晴らしい。
三丁目の夕日のあの昭和ノスタルジーに存分に浸れます。
特攻から逃げた男の、名誉挽回のラストシーンは、予想通りですがコレしかないでしょう。
とにかく、今回は絵も音も迫力があり、見ごたえのある映像に大満足でした。
浜辺美波ちゃんの、昭和的女優感も素晴らしい。この時代設定の作品には打って付けでしょう。
主演の神木君が自身の境遇に打ちのめされて苦悩する役処は、以前なら吉岡秀隆氏の得意な分野ですが
今回は、ゴジラを倒す策を練る学者を演じていて、神木君に任せた様相。 これもアリでしょう。
事前に見た予告編では、ゴジラとどんな戦いになるのか、全然読めませんでしたが、「シンゴジラ」の
電車爆弾作戦とか、薬物飲ませる作戦とか、どこか滑稽な絵ずらを心配しましたが、神木君の特攻に
しびれました。クライマックスの絵として、これぞ映画の醍醐味でしょう。
リアルだリアルだと褒めちぎってますが、残念な点もいくつかありました。
熱線を吐く前に、尻尾から背びれ、トサカまで光が流れるのはいいのですが、ロボット動作みたいな
スライド動作は頂けません。急に生物感が遠くなりました。
で、その熱線の破壊力があり過ぎです。 もう少し押さえといた方が、ねえ・・。
と言うわけで、いくつか惜しい点が無い事も無く・・9点としました。 それでも二重丸ですよコレ。