13.《ネタバレ》 涙腺が崩壊する感動のドラマ。
わかっていても泣いてしまう。
筋が読めていても泣いてしまう。
どう転んでも泣いてしまうようにできています。
それはこの作品が、人の心の琴線にふれるようにできているからです。
『僕の貯金の46ドルを使っていいよ。』と言っていた少年が倒れる。余命わずか。息子の命を助けるため、奔走する父親はデンゼル・ワシントン。完璧に感動が約束されているシナリオです。
父親が病院を占拠する直前までのシークエンスが非常に大切。
皆から募金を集め、役所を駆け回る姿。息子はいつ死ぬかわからないのに、『役所からの回答まであと1週間。』とか、『あと1ヶ月』とか。息子死んでしまいますよ。それでも、ヤケを起こさず、ルールにのっとって、ひたすら役所を回り、治療費をかき集める両親。このシークエンスがあるからこそ、突然の強制退院によって精神的に追い詰められる父親に気持ちが入ってしまうのです。
ジョンQと共に、一人称視点で見るのか、第三者的視点で見るのかで評価が分かれそうです。
なぜなら、第三者的視点で見た時、病院を占拠するというのは、やはり倫理的に問題があるからです。
『自分の息子の命さえ良ければ、他の人はどうでも良いのか』と。それは至極真っ当な正論です。
そして私は、このケースに関して言えば、『自分の息子の命さえ良ければ、あとはどーだって良い』と思うタイプです。なぜなら、どんなに命のタイムリミットが迫っても、社会のルールの中で息子の命を助けようとした父親を、その息子の命を、先に見限ったのは世の中のほうだから。それは公的機関であり、会社であり、医療です。
映画の結末として、強いて言うならば、ドナーが間に合わず父親が死んでいたら満点。
そしていくらなんでも警察に心が無さすぎ。ですがそれ以外はすべて完璧。傑作。