《改行表示》10.サスペンスとしては並ですが、入り乱れる人間模様が面白く、群集劇として素晴らしい出来と思いました。 貴族と従者それぞれのシニカルな描写、音楽、ビジュアル、総じて完成度の高さが感じられます。 推理物がこのように作りこんだ手法を用いたら神がかり的な作品が生まれそうな気がします。 登場人物の個性がはっきりしているので、人数は多いが比較的迷いは少ないという印象を受けました。 とはいえ、私は少し予習してしまいましたが・・・(^^; 「一応主役」のような女性従者が、地味な風貌で、目立つこともないのですが、存在感あり。まさに従者役の鏡。 【午の若丸】さん [DVD(字幕)] 9点(2011-04-09 21:42:31) |
9.《ネタバレ》 もうまるっきりJ・アイヴォリーの世界なんですが、アルトマンらしさが随所にみられて面白かったです。寄席木細工のような巧緻な脚本には脱帽ですし、犯人が判らないミステリーというのも初めてで実に斬新でした。とてもじゃないけど一度観ただけじゃ登場人物の相関関係が判りませんが、それでもM・スミスとH・ミレンの両デイム女優はさすがに圧倒的な存在感です。観終わって久々に味わう至福感でした。 【S&S】さん [DVD(字幕)] 9点(2010-08-12 00:05:58) |
8.アルトマン映画は割と好き。この作品も、らしい群像劇で面白い。でも、らしからぬ起承転結みたいなものが一応あって、これは意外。彼の作品はスクリーンの隅々にまで情報が詰め込まれているから、ずっと隅々まで見ないといけないので、そういう意味では疲れる。そして、本作もやっぱりそうだった。幕開けの音楽が素敵。続々出てくる登場人物たちの顔と名前は、そのうち一致してくるから、最初は分からなくても大丈夫。なんといっても階上と階下の描き分けが面白い。お互い蔑んでいる関係。いいねえ、いいねえ、こういう毒の撒き散らされ方。これぞ映画の真骨頂じゃないですか。ヘレン・ミレンの存在感はどうでしょう、スゴイなあ。エゴと欲の渦巻くお屋敷でのミステリー。衣装や美術も凝ったというだけあって見応え十分。何度見ても楽しめる。というか、見れば見るほど味わいが増す稀少作品。 【すねこすり】さん [DVD(字幕)] 9点(2009-09-01 14:40:48) |
7.淡々と見させてもらいました。ヘレン・ミレンの号泣までは。やっぱり生身の人間なんですね~。メイドのメアリー役の女優さんも良かったと思います。地味だけどしっかりとしたイメージがある方ですね。ジェレミー・ノーザムが好きなので歌われた時には腰砕けになりました。主題歌「Land of Might-have-been」がいいです。 |
6.《ネタバレ》 「神は細部に宿る」という言葉があるが、この映画はそんなふうに始まる。アルトマンいわく、様式とはすなわちディティールだ。戦前という貴族の光が消え去らんとしている時代、そこに生きる人間達もまた「様式」の中に生きていた。この映画では執拗にディティールが語られる。猟銃、自家製マーマレード、コンストラクト・ブリッジ、ゴシップ、カネ、色・・・どいつもこいつも紋切り型で杓子定規な人間ばかりで、個々の人間性よりもそういう「形」こそが「階級」であり、ひいてはミスター○○であり、ミセス○○なのだといわんばかりに。だから観る者が登場人物の区別がつかずに混乱するのも当たり前で、それはアルトマンの狙いにハマっている証拠なのである。しかし、そこにアメリカ人(新時代の隠喩)という異物が投入されたとき、そしてカントリーハウスの主人(旧時代の隠喩)が殺されたとき、登場人物それぞれの人間性がほのかに現れ始める。ヘレン・ミレンの号泣は、そのクライマックスで、このあたりになると、誰がどうなのかがハッキリ彩られて見えてくる(少なくとも私はそうだった)。私が思うにアルトマンは階級社会の崩壊と、それにともなう人間性の解放を描きたかったのではなかろうか。この映画を観れば、アルトマンがミステリ仕立てのストーリーなど重視していないことなど誰にでもわかる。だからそれをどうこう言うのは、それこそ野暮だろう。肝心なのは「人物の書き込み」でも「殺人事件の顛末」でもなく、「ディテールの積み重ねとその崩壊」なのだから。冒頭、強い雨のシーンから始まるが、ラストは快晴であったのがそのことを暗示していると、私は思ったのだがいかがだろうか?。雨にぬれた従順なメアリは旧時代の人間のありかたであったが、ラストでスターに軽やかに別れを告げ、女主人に痛烈な一撃をくらわすメアリの姿は、「様式=ディテール」に囚われずに生きることのできる、そんな新しい時代の到来を確かに予感させるのだ。 【veryautumn】さん 9点(2004-03-23 00:16:29) (良:1票)(笑:1票) |
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5.アルトマンの群像劇は大好きです。賛否が分かれることが多いですが私はいつもすんなり受け入れられます。一回目、人物と名前を覚えるのに必死でした。二回目、落ち着いてゆったり観られました。上の階の貴族たちと下の階にいる使用人たち。気位は高いけれど欲深な貴族。表面は忠実、けれどそんな貴族をバカにし、ゴシップネタで楽しくお喋りしている使用人。主人が可愛がっている犬まで嫌われているのが可笑しい。だれが犯人でもおかしくない状況で殺人事件が起きるわけですが、真相解明よりも、その怪しく複雑な人間関係が楽しいブラック・コメディ。伝統的な英国の恥部ということかしら。なんといっても英国俳優総出演というようなキャスティングが嬉しい。マギー・スミスの演じたトレンサム婦人は最高ね。ひと言ひと言が意地悪、まわりの人間を見下した態度だけどその見下している人間に完璧に依存して生きているばあ様。クライヴ・オーウェンが男っぽくていいわ。エミリー・ワトソンが意外に大女だということを発見。スティーヴン・フライのあの警部もひょっとしたら貴族出身なのかもね。マイケル・ガンボン、クリスティン・スコット・トーマスはハマリ役でした。ライアン・フィリップはがんばってたけどやっぱりあの中では浮いちゃいますね。劇中、実はハリウッドの俳優で執事役を勉強するために来たことになってたけど「この子が執事役?」とそれさえも疑問に感じたのでした。 【envy】さん [DVD(字幕)] 9点(2003-11-20 23:38:42) (良:1票) |
4.階下の人々の生き生きとした描写が素晴らしい。始まって数分ですっかり引き込まれてしまった。途中で起こる事件の謎解き要素はほぼなく、ひたすら人物とそれらの関係の描写に絞っていると思われる。見ごたえのある映画。きっと一度では見切れず、しかし複数回見ても楽しめる映画だ。 【rain】さん 9点(2003-07-08 00:48:28) |
3.英国の貴族階級の屋敷を舞台に繰り広げられる秀逸な群像劇だった。貴族と使用人それぞれのキャラクターが緻密に描かれており、それぞれの会話や言動から時代背景や人間ドラマが伺えて集中を切らせなかった。屋敷内でのめくるめく人々の動きを適確にとらえるカメラワークも見事で迫力があった。様々な人間模様を見ているだけでも楽しいが、この作品には更に殺人というエッセンスが加わり映画として面白みを増している。 【スマイル・ペコ】さん 9点(2003-06-07 21:27:29) |
2.私には何の映画の知識もないですけど、かなりスゴイ作品だなぁと思いました。前半は、登場人物の名前だけでも覚えるのが大変なのに、召使と主人たちの関係や主人たち同士の関係も複雑であり、屋敷に現れる登場人物も増え、私は大混乱に陥りました。そして、後半のある展開から前半に見せた複雑な人間関係がまた変化し始めいろいろ明らかになるという感じでしたね。まだ私は見落としているところがいっぱいありそうなんで、見直すとまた違った発見があって感想も変わってくると思います。テンポも良くて、登場人物がとても個性的なんで、見ていても全然飽きないですからね。ピアノの弾き語りのとき、召使たちのうっとりしている姿が一番印象的でした。 【はがっち】さん 9点(2003-05-21 02:42:15) |
1.イギリス映画に登場する労働者階級って、なんか切なくなる。貴族との対比が上手く演出されていたと思う。 【なかなか】さん 9点(2003-04-27 03:10:57) |