5.《ネタバレ》 主人公ハリーは三度も結婚して別れた妻がみんな出てくるし、小説の世界ではハリーと妻たちをそれぞれ違う俳優が演じているので、始めのうちはややこしくて頭を整理するのが大変でした。でもこの脚本、数あるアレン映画の中でもかなり上位にランクされる出来だと思います。よく“虚実とりまぜる”と言いますが、これほど巧みにその境界線がぼかして見せてくれる映画は滅多にありません。ピンボケのR・ウィリアムスなんて、こんなこと考えつく映画監督はそう滅多にいるもんじゃありません(そいうや彼、最後までピンボケのままでしたね、良くこんなキャラを引き受けたものです)。最後にハリーの創造した小説の登場人物たちが勢ぞろいするところを観て、この映画はW・アレンの『8 1/2』なんだなと納得しました。 【S&S】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2013-02-22 22:15:48) |
4.《ネタバレ》 「総決算」という言葉がピッタリの作品だ。いわゆる「アレンらしさ」がてんこ盛り。おそらく今作でアレンはひとつのピリオドを打ったのではないかと思う。それを証明するかのように、本作以降の作品には特有の「アク」の強さが消えており、同じコメディでも、より正統派な笑いを求める作風へと傾向が変化した。話を元に戻そう。彼がこれまでテーマとしてきた主題がすべて本作には詰め込まれており、またアレンが敬愛するベルイマンとフェリーニがモチーフにもなっている。母校の表彰式に向かうという設定は「野いちご」であるし、ラストで創作上の登場人物が総出演するのは「81/2」そのままだ。だが、さすがはアレン、ただの猿真似で終わらせなかったのは、フェリーニのようにラストを感動の一幕で締めるのではなく、虚構の世界で独白した自分をもう一度現実社会へと引き戻し、それをも笑いのネタにしている点だ。あたかもそれは「まだオレは終わっちゃいないぜ!」と高らかに宣言してるかのよう。この映画人は実にシブトイ。そしてそのシブトさこそ、アレン最大の魅力なのである。 【給食係】さん 9点(2003-10-30 23:33:25) |
3.ウッディ・アレンにしか作れない映画。細かくて、お洒落なギャグは最高。テーマとしても、英題が(ハリーの脱構築)表しているように、登場人物を通して、主人公(彼も本当は、作中人物)が解体されている様は、ほとんど芸術の域。80年代の押井守が見たら、やられちゃって映画作るのやめたかもしれない。 【りしゅるす】さん 9点(2003-02-22 22:12:14) (良:1票) |
2.この作品、実は90年代以降のアレン作品のなかで、1、2を争う出来なんじゃないかと密かに思いました。といっても、1年前に見てチンぷんカンプンで、1年後再びみてやはりピンとこず、ビデオで巻き戻しながらやっと「あーーー!」っと思ったぐらい鈍い私ですけれど。この作品にはウディアレンの一人の男性としての、そして作家としてのエッセンスが短時間にぎゅっと詰まっていると思います。詰まり過ぎて分かりにくいのが難点ですが、まあガイリッチ-作品を思えば人間関係はずっと単純です。というのが今の私の見解ですが、そのあと「ワイルドマンブルース」を見てスンイーのことを知り、そのあとにこの作品を見たらまた違ったかも、などと思ったりもしました。まあ、アレン作品は1年おきに毎年見直す覚悟で見るのが正解なのかもしれません。 【ちずぺ】さん 9点(2002-01-24 23:41:38) |
1.初老になっても、彼はすこぶる元気!ラストの作中登場人物大集合には涙が零れんばかりの感動。 【miya】さん 9点(2001-08-22 14:20:18) |