1.《ネタバレ》 チャールズ・ポーティスの原作を映画化した「True Grit」。
これは数ある保安官ものの中でも一番好きな西部劇かも。
ジョン・ウェインの事を「いつも同じような口調で野暮ったい役者だよね」と思う人は本作を観れば意識を改める事だろう。
本作のウェインは実に人間臭く味わいのある演技を見せてくれた。
あの眼帯が無くとも表情豊かでノリノリな感じが伝わって来る。
犯人を捕まえるのは賞金目当て、常にケンカ腰な不良保安官「ルースター・コグバーン」。
酒好き、ポーカー三昧、大昔は仕方無いとはいえ盗みもやっていた筋金入りのワル。
ワイアット・アープがグレたらこうなんだろうなぁ・・・。
肉屋の爺さんと「プライス将軍」と呼ばれる猫が唯一の家族という寂しさも覗かせる。
物語はそのコグバーンに父の仇を討って欲しいと「マティ・ロス」という少女が願いに来る。
そこから同じく犯人を追うテキサス・レンジャーの「ラ・ビーフ」と3人の奇妙な追跡が始まった。
この3人のキャラが実に良いんだよね。
老いを感じさせない超ワル親父のコグバーン、
父の仇を討たんと、法律や持ち前の度胸を武器に動くボーイッシュで男勝りなマティ、
憎まれ口を叩くコグバーンに何かと突っかかるラ・ビーフのユニークなやりとり。
敵も地味にデニス・ホッパーとロバート・デュバルという顔ぶれ。
通りで強烈な印象があったわけだ。
ストーリーは人間ドラマが占める作品だが、中盤の逮捕劇と尋問、ラストの決闘と帰還劇など見所も多く、何より人間ドラマが最高。
特に銃ではなく法律を武器に駆け引きをするストーリーが現代的で面白い。
終盤でヒロインが敵とバッタリ会って人質になるのはどうかと思ったけど、そこには「リオ・ブラボー」に通じる交渉術があった。
仲間の仇の一人と言える娘をあえて生かしたのは人質とするため=娘が死ねばコグバーンに血祭りにされる(まあ結局は「お約束」でしたけどね)。
ラストの疾走するコグバーンが最高にカッコ良いのでそんな事はどうでも良くなるね。
人質の件以外は文句なしの傑作!