1.「地上より永遠に」と似たようで違う3時間の大作。
戦争を複数の若者の視点で見る映画はウンベルト・レンツィの「戦争と友情」等幾つかあったが、ドミトリクのこの作品は屈指の完成度がある。
怪我をする前のモンゴメリー・クリフトが「地上より永遠に」で柔らかい演技を見せたのに対し、この作品は負傷後の硬直した不器用な人間像が描かれる。後遺症で彼の持ち味が殺されてしまった事は悔やんでも悔やみきれないが、死の手前まで役者として葛藤を続けた彼の生き様がこの作品にも刻まれている。
風前の灯となりかけたクリフト、そして増々燃え盛る炎となろうとしていたマーロン・ブランドの共演。二人が会話する場面を少しでも見たかっただけに残念。
それにブランドはあくまで良心であり、ドイツ軍はやはりユダヤ人を迫害する悪として描かれてしまう。だが、アメリカも必ずしも肯定的に描かれていない部分に注目。
ブランドはドイツだけを一方的に悪として描くハリウッドに抗議したそうだ。「史上最大の作戦」のエルヴィン・ロンメルですら、果たして善悪を超えた存在として描かれたのだろうか。
憎めないドイツ人将校マクシミリアン・シェル、器用に生き抜くディーン・マーティンやリー・ヴァン・クリーフの存在感も凄い。