1.いつもながらにキキカイカイ(奇々怪々/喜々快々)な、ゴダ-ル先生の映画。それにしても本作、いつも以上にヘンテコです。先生ご本人が出演され、「今日中に映画を撮らねばならない」と宣告されて右往左往のドタバタ劇を演じたり、何の脈絡もなくリタ・ミツコのレコ-ディング風景がくり返されたり、いきなりジェーン・バーキンがスポーツカーに乗って現れて、「?」なコントを繰り広げたり…と、とりとめのない映像と音響がどこまでもコラージュされていくだけ。ハッキリ言って、お世辞にも「面白い」作品とは言えないでしょう(でも、ゴダ-ル作品に「面白さ」を求めるヒトなんているのだろうか…)。ただこの映画、どうか大きめのモニターで1日中エンドレスに流しつつ、メシ食ったり、本を読んだりしながらその合間にチラチラとご覧いただきたい。すると、これがクセになるほど心地よいのですよ! 偉大なるJLGを”環境ビデオ”扱いするなんて、とヒンシュクを買いそうだけど、この映画がゴダ-ル流「日常の中の冒険」譚であるなら、実はもっともふさわしい鑑賞法じゃないでしょうか。そうして見た本作は、類稀な「美」と「親密さ」を感じさせてくれることでしょう…たぶん。