《改行表示》34.《ネタバレ》 「狂気が充満したような映画」、そう観終わりスクリーンを後にする時に思いました。この"狂気"とは、勿論、主人公であるロレンスが段々と狂気に染まっていくということでもあるのですが、それ以上に、この作品を評する一番の賛辞は"狂っている"と言うことだと強く思ったのです。つまり「素晴らしい」とか「美しい」とかのありきたりな美辞麗句を超えて、「こんな映画を撮れるなんてどうかしている!」という感覚こそが、この映画を評するのに最も相応しいかと。 主に前半部に見られる砂漠の映像美、合戦シーンのスペクタクル、作りこまれた巨大なセットや人間達、全てが古い映画なのに規格外で、それをコントロールし撮影しているのだと思うと、ついついため息と共に笑ってしまいました。だって、有名なシーンですが、広大な砂漠に映る蜃気楼からラクダを駆ってくる人間の姿が浮かび上がったりする。どんな忍耐力と集中力で撮影をしていたのか、想像できないです。唯々、驚愕するしかないシーンの連続。 また主人公・ロレンスの人物描写の巧みなこと。イギリスとアラブ、どちらにも属しきれない人間としての悲しさも非常に感じられましたが、その性格は、清廉であり残酷、勇敢であり臆病、理想家であり現実家、とあらゆる人間の側面を内包している。その上映時間の長さを活かし切った壮大な人間ドラマでした。 【民朗】さん [映画館(字幕)] 9点(2015-10-28 15:31:49) (良:1票) |
33.ドイツ側につくトルコに対しアラビアを支援した英国将校T.E.ロレンスの砂漠の世界。 金髪碧眼に白衣のロレンス(ピーター・オトゥール)と夜の色の髪と目、黒装束のアリ(オマー・シャリフ)の組み合わせの妙。 精悍で芯のあるアリは時に不安定なロレンスを支える影のようでもある。 脇もアンソニー・クイン、アレック・ギネス、クロード・レインズらで固められるが、主役はやはりどこまでも広がる砂漠か、茫々として美しく、蒼穹が映え朱の落日を包む。 ストーリー以上に映像表現に力がある前半は特に魅力。 風に舞い砂紋を刻む砂獏は有史以前から在り、地平線の彼方から現れるアリは芥子粒のようだ。 人間の野望や思惑などはその中にあっては何と矮小なものか。 エキストラを使った大規模な戦闘シーンも動物の縄張争いと変わらぬ気がする。 歴史上の英雄は侵略者でもあり、ガシムを救うため「運命などない」(NOTHING IS WRITTEN)と叫んだ彼が歴史に書き込んだものは、彼が真に望んだものであったのか。 そのガシムも自らの手にかけねばならぬアイロニー。 目に見えぬ力に翻弄される彼への思い入れを拒絶するかのような監督デヴィッド・リーンの冷徹。 志半ばで燃え尽きたかのようなロレンスに観客も長旅を終えた気になる。 来年は製作50周年を迎え、共に30才であったオトゥールとシャリフも齢(よわい)80となる。 【レイン】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2011-10-20 07:00:00) |
《改行表示》32.《ネタバレ》 壮大な、あまりに壮大な映画。このようなスペクタクルの映画は、現代においてはもはや撮れないであろう。 ■タイトルからはいかにもロレンスという人間を描くのかと思わせているが、意外とロレンスの人間像の掘り下げは浅い。彼の心情やその変化についての描写があまりなく、事実をつないだ感じになっているのはわりと残念。 ■しかしその代わり、アラビアの壮大な砂漠や、そこに生きるアラブの民族の描写は素晴らしかった。冒頭の陽のシーン、それに続く砂漠をひたすら進むシーンだけでもうお腹いっぱい。ひたすら広がる雄大な光景は、3時間半という長尺にもかかわらず全く飽きさせられることはなかった。 ■しかし砂漠って魅力的だなぁ 【θ】さん [DVD(字幕)] 9点(2011-01-04 13:14:13) |
31.壮大な世界に冒頭から圧倒される。CGでは絶対に表現できない。「映画を観る」ということに価値を見出せる一本。 【わさび】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2009-08-21 09:34:19) |
30.《ネタバレ》 実際のロレンスとは違うという批判があることは承知していますが、歴史上の特異な人物をここまで説得力を持って描いたデヴィッド・リーンの手腕は見事です。なんと言って良いのか迷うとこですが、この映画にはオーラのような迫力があることは確かです。どのシーンも切り取れば一幅の絵画になるような素晴らしい映像の乱れうち、後半のダマスカスで開かれるアラブ国民会議のシークエンスは何度観てもルネッサンス期の宗教画のごとき濃密な映像に感嘆します。ピーター・オトゥールの演じるロレンス像は、歴史上の人物としてはジョージ・C・スコットのパットン将軍、ケイト・ブランシェットのエリザベス1世と並ぶ「他の俳優が演じることが考えられない」名演技だと思います。ロレンスは現在の中東情勢には直接責任はないのですが、イスラエルで彼はどの様に評価されているか興味があります。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2009-03-29 13:28:44) |
29.今作が放つ、 【 開始30分における、空前絶後のパワー 】 と、【 ヒーローが狂い腐っていく、負のパワー 】 この相反する2つの力に、ボクは完璧に捻じ伏せられていきました。 そしてこの強固な 「二面性」 こそが、制作後40年を経た現在においても、名作として鑑賞され続ける今作の 「レゾンディーテル (存在理由)」 であったと悟りました。 完成版はこちらまで ネタバレ注意 → http://ouiaojg8.blog56.fc2.com/blog-entry-72.html 【マーク・レスター】さん [DVD(字幕)] 9点(2009-01-17 20:47:20) (良:2票) |
28.前半の輝いているロレンスと、後半の弱さをあらわにしたロレンスの対比が面白い。一人の人間がこうも変化するとは、いかにも人間らしい。そういう意味で、単なるヒーローものなんかとは全然違う深みがある。かなり時間が長いけれど、この話を2時間ちょいでまとめるとしたら中途半端なものにしかならないだろう。単なる歴史ものだとは思って欲しくない、オススメの一本。 【おまいつ】さん [DVD(字幕)] 9点(2008-11-04 17:10:30) (良:1票) |
《改行表示》27.劇場でリバイバル上映を1本だけしてくれる、そんな夢がかなうならこのアラビアのロレンスか2001年宇宙の旅かな・・・ それくらい劇場で見たくなる砂漠の迫力ですね。ロレンスの挫折、虚栄心、英雄的な部分を過不足無く描いててドラマとしても素晴らしい作品だと思います。 【AIRS】さん [DVD(吹替)] 9点(2007-01-28 04:18:39) |
26.《ネタバレ》 うちの母は「感動して鳥肌が立った」というような表現を見ると、そんな言い方はおかしい!!!と言ってぷんぷん怒るのですが、この映画の中にはそんな鳥肌が立つようなシーンがたくさんあります。特にマッチをフッと吹き消すシーンではあまりのかっこよさに息が止まりました。しかしそんなかっこよさとは裏腹に、周囲の思惑などに翻弄されたロレンスの輝きは、話が進むにつれどんどん失われていくのです。だから後半は観るのがなんとなくつらい。そして難しい。わたしがこの映画の意味というか意義を本当に理解できているか?と問われるととても困りますが、でもこれが名作なのだということだけは自信を持って言うことができます。(ちゃんとわかっているかどうかわからない自分のせいで、1点減点します・・・。ごめんなさい。) 【かいろ】さん [映画館(字幕)] 9点(2006-04-17 23:44:58) |
25.今更いうことじゃないけど、これぞまさに超大作。とにかく長いが、それでも全然気にならない(完全版でもそれは同じ)。とにかく砂漠をここまで描ききった映画はないでしょう。地平線いっぱいに広がるテント、顔も服も真っ白になってしまうぐらいの砂嵐、観ているこっちまで汗をかいてしまうような灼熱の太陽、どれをとってもため息が出るぐらいにすごい。『スターウォーズ・エピソード1』にも砂漠のシーンがありますが、全然迫力が違いますね。印象的な「絵」が多い映画ですが、特に好きなのはマッチの火が砂漠の夜明けに変わるシーン。『2001年宇宙の旅』における、骨が核衛星に変わるシーンなみの凄さがあります。 【とかげ12号】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2005-11-22 21:28:51) |
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24.前半の穏やかな青空と砂漠の美しさと、後半の砂埃に覆われた砂漠の光景が、人々の変化を表しているように思えました。 【デコバン】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-11-09 14:44:49) |
23.《ネタバレ》 上映時間が3時間45分と非常に長いので見るのに気合が必要かも。「映画を見るぞ!」と言う環境が整ってないとまるで楽しめない作品の一つだと思う。生半可な気持ちで見ると壮大な砂漠にやられて海に着く前に寝る事になる(笑) 時間と気持ちが整っている時に見ると前半の爽快なストーリーと映像美に引き込まれる。インターバルを挟み後編半ばへ入ると英雄ロレンスから空気が変わってくる。 人種的に体や思想の違いもありアラブ民族として生きられない事実と上辺だけの階級で利用されている事への苦悩が見所。 気軽に見れない映画だからこそ、THE ENDが出たときの「見終えたぞ」と言う満足感と「いやぁ~面白かった~」と言う感想の両方から来る背伸びがメチャメチャ心地よい。THE ENDからエンドロールでの溜め息交じりの余韻は過去最大級でした(笑) 【oO KIM Oo】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-10-29 07:21:26) |
22.インターミッションを挟んで2日に渡って鑑賞しました。とりあえずこの映画を観終えた直後の率直な感想は「長い!!」に尽きます。でも後々、この映画をよく振り返ってみるとやはりこの映画が名作と称えられる要素がたくさん伺えます。まず砂漠の美しくもあり、恐ろしくもある自然描写の圧倒的な描写力に1番感動しました(特にDVDで観てみればよく分かります)このような凄い描写はCGや特撮に頼り気味の今時の映画で描き出すことはまず不可能でしょう。キャスト面でも出演者全員がしっかりとした演技力で違和感のある人が誰1人居なかった。やはり特筆すべきは主役のピーター・オトゥール。彼の演技はロレンスの喜怒哀楽を見事に表現していて、鑑賞中はひたすら驚かされました。アカバの進攻シーンや鉄道爆破など1度観たら心に深く残るシーンも多く、これらの要素を全て踏まえるとこの上映時間も十分に納得です。今の時代ではなかなか観ることが出来ない「生」の迫力に徹したこの映画を観ることが出来た事は本当に嬉しく思います。 |
《改行表示》21.「風と共に去りぬ」と「アラビアのロレンス」 僕の中では古い映画の2大巨頭みたいになっているのですが、やはり僕の感性とは違います。 ただ、面白いし、素晴らしいのは分かる。個人的には「アラビアのロレンス」の方が好きかな。 【やぶ】さん 9点(2004-10-10 23:35:55) |
20.広大な砂漠にあの有名な音楽、そして「砂漠は清潔」というロレンスの言葉、すべてが鳥肌モノだった。 【ゆきむら】さん 9点(2004-09-16 15:37:24) |
《改行表示》19.撮影には大変な苦労をしたでしょうね。膨大な金と時間とエネルギーが 費やされた作品であることは素人の私でも分かりました。 アリ首長が 男らしくてカッコよかったです。女性はたぶん、ロレンス派が 多いとは思いますが(笑)。 【しまうまん】さん 9点(2004-06-12 00:02:49) |
18.圧倒的な映像は後世に残るべき美しさだと思う。ロレンスの描写については実在の人物というだけあって、ただの判官びいきにたよった英雄として描くのではなく、人間として生きていく仮定での様々な懊悩が差し込まれていて見ごたえがある。ピーター・オトゥール、アンソニー・クインの演技も見事だが、特に目を引いたのはオマー・シャリフ演ずるアリの潔さだ。砂漠の主のように現れ、神がかったロレンスに次第に惹かれていく。そして再び失望のうちに砂漠に戻っていく・・・。話が進むにつれて、我々も彼に対して愛情を持つようになる。名誉と物欲一筋のアウダと、ナルチシズムに酔うロレンスとの間にあって、実質上彼らの統率を取っていたのは彼である。最後にこの機軸が崩れ去るときのシーンは、哀愁がにじみ出るようで、忘れられない。 【神谷玄次郎】さん 9点(2004-02-28 21:14:28) |
《改行表示》17.映画館でこそとは思うが、充分面白い。 最初長く感じるが、乗り越えれば引き込まれる。 (ビデオ) 【zero828】さん 9点(2004-02-22 00:11:52) |
16.父親が最高の作品だと言っていたので見たが、なるほどなという感じだった。個人的には前半のアカバ攻略までが好き。点数は父親の10点、僕の8点の間をとって9点。 【ボーリック】さん 9点(2003-12-09 01:35:21) |
15.《ネタバレ》 何が誰がロレンスを狂わせたのか・・・。英雄だと思っていたけど、大きな誤解で、ロレンスはとてもかっこわるい奴でした。とても純真。子供のようでした。ロレンスはもっとアリを大切にすべきです。ロレンスが砂漠を厭がるようになってからの砂漠がとても嫌でした。それまでは素晴らしいと感嘆したのに。見事です。母親のことや、トルコ人の将軍(?)のシーンがもっとあからさまだった方が分かりやすかったです。多分彼は精神的潔癖性だったと思うのですが、その件についてもっと描かれた方がロレンスと云う人物に入りやすかった。ロレンスの時とオレンスの時、この区別はかなり重要だったけど、その描写もたりなかったです。しかしそれを補ってもあまりある映画でした。久しぶりに映画と云う映画を見ました。スクリーンで見れた事に感謝します。 |