3.《ネタバレ》 ジアマッティがいい!いつも怒ってる目、最高!
目が怒ったまま、口をゆがめて笑ってもヤなヤツに見えないという、すごい技術である。
怒ってる目には違いないのだが、5%くらい困ってる目が入っているので、ヤなヤツに見えないのではないだろうか。
病院の事務勤めを続けながらマンガの原作で有名になったというハービー・ピーカーだが、私は郵便局勤めを続けながら細々と執筆活動をしていたチャールズ・ブコウスキーと似ているなあと思っちゃった。
どっちもはみだし者だけど本当はインテリで、世の中の自分に対する扱いが不当なんじゃないかとずっと思っているけれど、犯罪に走るとか他人に絡むとかしないで、もくもくと生活費を稼ぎながらその傍ら芸術活動を続けるという…似たタイプですよね。私はこういう堅実な人ってけっこう好きです。
この作品はマンガや吹き出しを映像とミックスさせたり、ハービー本人を出したりナレーションもさせるなど、いろいろ工夫に富んでいます。
私はもう、ジアマッティの怒り目を見ているだけで眼福な気分なもので、とても楽しく見ました。
特に好きなのは、クラムとの絡み部分ですね。クールなクラムに対し、怒っているうえ困っているハービーのコンビがすごくいい。
前半は笑えて面白かったのだが、ガン発覚以降人生万歳的なラストまでは、ほのぼのし過ぎているように私には思えて残念だった。ハービーのような人は、毒があってこそ、でしょう。この作品は、前半が面白い。
あと、難をいえばハービー本人を出しすぎたのではないか。
私はどっちかというと本人よりもジアマッティの演じるハービーのほうを長く見ていたかったのに、欲求不満な感じがしてしまう。ジアマッティはスクリーンの中で観客を満足させるための技術をもつプロなのだが、本人は別にそういうわけではないので露出時間が長いと「もたない」感じがする。
本人はナレーションとTV出演のみに絞っても良かったのでは。なんというか、「歌まねご本人と一緒」で本人が長く写ってしまうと「ありがたみ」が感じられなくなるというようなものだ。
ともあれ、おすすめの一品。ジアマッティ最高。