58.《ネタバレ》 「切ないハッピーエンド」。 これはこの映画のキャッチコピーですが、まさにその通り。 「もしもあの時こうしていれば…」というのは、生きていればきっと誰もが一度は思うことだと思います。 主人公エヴァンは、失われた記憶の部分に戻ることが出来、更にその記憶(過去)を書き換えることで現在を変えることが出来る能力を持っていたわけですが、彼が良かれと思って書き換えていった過去から現在へ戻って(?)みると、誰かしらが不幸になっている…。 ほんのささいな選択で、人生は大きく左右されるものなんですね。 この世で誰よりも愛しているケイリーを幸せにするため、エヴァンは何度でも過去に戻る。 自分の脳に異常をきたしても、愛する女性、そして彼女を取り巻く人々のために。 そして最終的に彼が取った行動は、愛する彼女と一切関わらないという選択。 大好きな彼女に、「あっち行け」と突き放した瞬間、彼はどれほどつらかったことだろうと思いました。 残り2つのエンディングも見ましたが、映画版のエンディングが最も良かったですね。 「バタフライ・エフェクト」―「蝶の羽ばたきが、地球の裏側で台風を起こすこともある」 タイトルがこの映画の全てを表していて、非常に完成度が高い映画でした。 【みさえ】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-03-06 11:44:58) (良:3票) |
57.《ネタバレ》 予告を見たときからこの映画を見たくて見たくて仕方なくて、でもアシュトン・カッチャー君の今までに出ていた映画はラブコメが多くて、そのイメージを払拭したいがためにこういうシリアスな内容の映画を選んだという思惑みたいなのが、私の頭の中によぎってそれにひっかかってはいけないと強がっていました。しかし、オアシスの「Stop Crying Your Heart Out」を聞く度にその強がっていた頑なな姿勢は少しずつ溶かされ、ついに公開終了直前(関西某所)に見に行きました。見終わった後、私は自分自身がとても恥ずかしくなりました。こんな良い映画を見るのを我慢していたなんて(笑)何度も何度も過去に戻り自分で現在・未来を変えようとする主人公、しかし過去の記憶が脳内で書き換えられる変化に伴い内出血が起こり彼自身の命が危なくなる。でも彼はやめようとしない。それは誰もが持っている「今思うとあのときこうすれば良かった」という過去への後悔という想いと誰よりも愛する女性ケイリーを守りたいという愛という想いがそうさせている、そしてその女性を守るために彼がとった悲しい方法に私の心は悲鳴をあげていました。「悲しすぎる、どうにかならんのか!」と・・・(汗)涙は出ませんでした。それはたぶん私には彼のような何もかも犠牲にして守りたいと思えるような愛する人がいないからなのかもしれません。でもこの映画には「蝶の小さな羽ばたきでも、地球の裏側では嵐を起こすもある」という、「自分自身が起こした些細な行動はいずれ大きな意味を持つことがある」ということを改めて教えられました。たぶんアシュトン・カッチャー君もそういうメッセージ性の強いところにひかれたんだと思います。もがき苦しみながら神に逆らうような行為を繰り返し、その結果罰ともとれるような体の異変に苦しむ主人公を熱演している姿を見るとこの役は彼にしか出来ないと思ってしまいました。たぶんデミ・ムーアのこともそこまで愛しているんでしょう(笑)人とはやり直すことができない過去への後悔や悲しみを背負ってでも生きていかなければいけない悲しい生きものなんですね、きっと。でもそれでも生きていけるのは未来への希望や現在存在する愛などの支えがあるからなのかもしれません。なんか「素晴らしき哉、人生」以来の人生観の変わるような映画でした。 【はがっち】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-05-29 17:13:16) (良:3票) |
56.《ネタバレ》 量子力学のパラドックスを修正するためにいろいろと仮説が生まれたが、その中のひとつに「多世界解釈」というのがある。たとえば巨人が勝つ世界と日ハムが勝つ世界、試合だからどちらかが存在するわけだが、どちらも存在する可能性があるわけだから、それぞれの世界が存在していくのではないか。イメージで言えば、この世界は樹形図のように無数に枝分かれを続けていて、今の我々はそのなかの一つを選択して進んでいるということ。 これをふまえれば、この映画のヘタレ主人公は自分が選んできた枝じゃない別の枝を覗いてると言える。で、自分の人生の主観を移動するアビリティを持っているということだ。 なので、彼が見てきたたくさんの、今より悲惨な運命というのも、すべて実在しているというように解せる。 今の俺が選ばなかった無数の枝を進む俺たちよ、元気か。 【no_the_war】さん [DVD(吹替)] 9点(2009-11-03 19:03:26) (良:2票) |
【*まみこ*】さん [地上波(吹替)] 9点(2010-12-04 03:09:35) (良:1票) |
54.《ネタバレ》 こういう系統の作品は、驚かせた後に、いかに登場人物のその後を想像させることができるか、いかにもう一度観たいと思わせるかが勝負どころだと思うのだけれど、これは見事に成功している数少ない作品。 アイディア自体は数限りない小説や映画で観られるありきたりなものだけど、飽きさせない脚本で見事に物語が動いている。描かれていくバッドテイストなラストシーンの最後の最後に、あんなに切ないエンディングを持ってくるところが白眉。細かい粗を探せばキリがないけれど、僕はこの作品が好きだ。 【小塚】さん [DVD(字幕)] 9点(2008-12-28 21:22:43) (良:1票) |
【NIN】さん [DVD(吹替)] 9点(2007-11-07 02:19:25) (良:1票) |
52.《ネタバレ》 「素晴らしい!」これが観終わって真っ先に感じたことでした。シンプルだけどこういう言葉がとても似合う映画だったと思います。最初は彼女を救うためだけのはずが、やがて皆が幸せでいられるように何度も過去に戻り、運命を変えるが毎回その代償で誰かが必ず不幸になる。目まぐるしく状況が変わるものの、観る側が全く混乱しない構成は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズにも繋がるものがあり、見応えがかなり感じられました。前半のサスペンススリラー的な展開で一気に夢中になり、後半でのタイムスリップ展開で前半であった伏線を見事に活かしきって感動のラストへ繋げていくこのストーリー展開にはもはや脱帽です。最近のネタ不足と言われているハリウッド映画の中で、これほど脚本が輝いている作品を観れたのは本当に嬉しくもあるし、今後にも期待してしまいます。少年犯罪や児童虐待などといった社会問題もストレートに描いていたのにも驚かされましたが、何より驚いたのは主人公を取り巻く登場人物の演技でしたね。状況が変わる度に性格や立場が全然違う役柄をどの場面でも違和感無く演じきった俳優の皆さんの実力にも脱帽でした。ラストでの自ら彼女との出会いを根本から切り離す主人公の心情が観ていた俺にも強く響き、ラストシーンでのすれ違いではもう本気で泣きそうになりました。そこで流れていたOasisの「Stop Crying Your Heart Out」も場面との相性がとんでもなく良く、元々大好きな曲でしたがこの映画を観たことで更に好きになりました。キツい暴力描写が多々あったのが少しマイナスになりましたが、この作品は俺にとって久々に「観て良かった!」と心から素直に言える作品ですね。 【エージェント スミス】さん [DVD(吹替)] 9点(2006-12-13 18:25:09) (良:1票) |
51.《ネタバレ》 ★ディレクターズカット版についてネタバレしてますので未見の方は注意!!→WOWOWでDC版が放映されていたので見てみたのですが、エンディングが全くの別物でビックリしました!!簡単に説明しておきますと、ラストでエヴァンが診察室で見るホームビデオが「母親がエヴァンを出産する直前のシーン」に差し替えられていて(ノーマル版は子供の頃に二人が出会うホームパーティーの映像ですね)、その時点にエヴァンの意識がタイムスリップして・・・ってつまり母親の胎内に戻って(!)、そして自分が生まれてしまう前にへその緒で自分の首を絞めて自殺する(!!!)と言うウソのようなホントの話です!!!(←それに関する伏線として、母親と「手相」を見に行くと言うシーンも追加されています)。いや~~それにしてもビックリしましたよ!!なんじゃコリャ!!!どんなベイビートークだよっっ!!!ってね(笑)。まぁ確かにこの内容だと、エヴァンが最後に残す「もしこの手紙が発見されたらこの計画は・・・(云々)」という手記に繋がらなくもないんだけど、あまりに突飛な映像で(てかコメディだよ、胎児の目がパッと見開いてへその緒を首にサッ!ってあれはwww)これでは愛しさも切なさもあったもんじゃないです(いや、ホント)。もしこのパターンで公開されていたとしたら、この作品は「映画史上、よくあるヘッポコなラストシーン」として歴史のなかに埋もれていた事でしょう(笑)。(※ちなみに採点はもともとのパターン(彼女との出会いをリセット→街でそのまますれ違う)のバージョンについてのものです) 【ぶらき】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-06-20 15:28:06) (笑:1票) |
50.《ネタバレ》 本当に最後は切ないですね。エヴァンはケイリーとは出会えなかったけれど一応幸せな人生を送れることができてよかったです。エヴァンが精神病院に入ってるシーンで終わらなくてよかったです。精神科の先生が「日記は存在しない」というようなことを言った所でこれで終わったらどうしよう~と正直焦りました。。。レニー(太ってる人^^;)とケイリーが付き合っている人生は本当に悲しいですね。エヴァン可哀想すぎです・・・。 【CTU】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-05-14 10:37:14) (良:1票) |
49.《ネタバレ》 何か雰囲気や、時間軸を使った展開がドニーダーゴを思い出してしまった。話の設定は、結構面白く飽きる事なく見れました。何度やり直してもうまくいかない展開は切ないです。やっぱり恋愛は、うまく成就しない方が心に残るのかも。 【ソウリ】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-05-04 23:17:07) (良:1票) |
|
48.《ネタバレ》 こういうタイムパラドッグスものは知らず知らずのうちに映画に引き込まれてしまう。ただ、この映画がこれほどまでに高評価で後味が良いのはラストの展開のためではないか。本当の意味での究極の愛なのではと思ってしまう。仮に、自分があの状況で彼女とすれ違ったなら果たして同じ行動をとれるだろうか。・・・うーん?・・未見の方はぜひご覧ください。興行的には成功とは言い難いのでしょうが、間違いなく傑作です。 【くらけん】さん [映画館(字幕)] 9点(2006-04-30 13:11:30) (良:1票) |
47.《ネタバレ》 なぜか世界を変えてもアイテムは変わらない。 そのアイテムは書き換えられないのか?? これは私の解釈で考えますと、 聖書のようなものだと思います。 バイブル・・ それは読み方解釈の仕方によっては書き換えられる。 聖書そのものは書き換えられなくとも行動は変わりますよね。 最後には燃やされることやユダヤのこともちらっと出てきます。 神にそむいた行動ということは、 いくら自分が良かれと思ってしたことでも、 運命は根本的には変えられない。 道は変わっても解釈で書き換えられようとも、 犠牲になる人間が変わるだけで同じなのです。 実によくできた映画だと思いますよ。 よい映画だと思い始めたのは、 少年時代の悪役の子供が変わるシーン。 初恋の少女の兄という設定ですが悪魔のような子で、 周りがこいつのために不幸になるのは許せないと見ていて、 しかし実は道が変わるとまた別のいいお兄さんにもなっていて、 ここらから主人公に共感し、 こいつの人生を変えるのはおこがましい。 そして最後の道を選んだ主人公にさらに共感し、 ああ、この主人公がどんなに彼女のことを思っていたのかが理解できました。 究極の愛は一番好きな人に背を向けること・・ 普通に時間が穏やかに流れる中で主人公だけがその記憶を持つ。 この切なさは、 最初の自分だけが記憶を失くした感じとダブります。 仲間は幼少時の記憶のトラウマがあるけれど、 自分だけが記憶喪失で日記の空白がある。 自分探しの旅ができる能力を利用し、 過去を変えてゆけば誰かが犠牲になる。 後味は切ないんですが、 このての「時をかける少女」映画は、 もしかしたら新しい出会いがあるかもしれないという、 それからの展開が希望的なものに変えられる可能性も秘めています。 「ダークシティ」のエンディングのように、 主人公だけが真実を知っていて、 相手は知らないから可能性があるわけです。 両方の記憶があれば出会うことを避けてしまうかもしれないから。 そう考えたいのか別エンディングのシーンを見ると後味はこのままでいいとおもいます。 【アルメイダ】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-04-23 13:37:43) (良:1票) |
46.人は何かを失うことでしか次の何かを得ることが出来ない。両手をどんなにめい一杯に広げても、その掌の上に乗るものの量や大きさは決まっていて、欲張って乗せたりすると当たり前のように脇から零れていく。人生は何かを捨て、何かを選び、また何を諦めながら続いていく。本当に大切なことなんてわからない。一年後に何が残っているかもわからない。だけど人は後戻りのできない一瞬一瞬の繰り返しの中で生きている。そんなの当たり前でわかりきっていることだけど、でもそれでも人はいつも過去を振り返り、「あの時はこうしていればよかった」とか「あの時、なぜいってやれなかったんだろう」とか悔みながら生きている。過去に戻りたいと誰もが願い、誰もが頭の中では過去に戻っているだろう。この映画はそんな誰もが戻りたいと思った過去に日記を読むだけで戻れるという一人の青年の話。羨ましいと思って観ていたけど、終わってみると羨ましいなんて感情はどこかへ消えていた。“切ない”この感情は色んな映画で感じてきたけど、この映画ほど衝撃的な切なさは今まで感じたことがない。心の深いところに直接染みこんで来る切なさは、体全体に広がった。痛み、涙、張り裂けそうな想い。エンディングで流れるoasisの『Stop Crying Your Heart Out』がぼくの涙の蛇口を開けっ放しにした。『Stop Crying Your Heart Out』を引き立てるためにこの映画があるような気がするし、この映画を引き立てるために『Stop Crying Your Heart Out』が存在するような気もした。何から何まで切ない色で染められたこの映画は、ぼくの心に深く深く残った。。 【ボビー】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-12-10 23:59:44) (良:1票) |
45.《ネタバレ》 かなり期待していたけど、その期待を裏切らず、一瞬も目を離せない。構想・脚本に6年を費やして暖めてきたというだけあって、脚本、ストーリー展開も見事。開始からぐいぐいと引き込まれていった。主人公の子役って、この子があんな顔になるのはちょっと無理があるんじゃない?と思う部分が多いのだけど、この作品の場合、エヴァンはもちろん、脇役の子役が皆正にぴったりという感じで違和感なく見れた。コメディ中心のアシュトンの演技はどのようなものかと観る前は思っていたが、見事のエヴァンを演じきり好印象。エイミー・スマートも「ロード・トリップ」の印象が強かったのだけど、演技の幅を広げましたな~と思った。レニーを演じたエンデル・ヘンソンもこの役のために3週間で7㌔も減量しただけあり、印象深い演技をしている。エヴァンがケイリーに「さよなら」というシーンはとても切なかった。そうか~出会わなければよかったとはこういうことなのね、と。仲良くならない方がいいから「お前を殺す」ってケイリーを脅して、彼女が去った後には「さよなら」でしょ。切なすぎるよ。個人的には7歳のエヴァンを演じたLogan Lerman君の豹変ぶりには一番鳥肌が立った。子役の演技が上手いのですんなりストーリーに引き込まれたというのもあるかな。いや~すっげ~面白い映画を観たものです。 【アンナ】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-12-10 10:26:30) (良:1票) |
44.《ネタバレ》 「なぜあの時決断しなかったのか、なぜあの時前進する勇気がなかったのか・・・。」何かが変わったのかもしれないのに、自分は動かなかった。今とは違う、別の未来があったのかもしれないのにと考えることはよくあります。 エヴァンのような力があれば、私も過去に戻ってやり直しをはかったでしょう。けれどエヴァンは何度も失敗し、先の未来をより悲惨なものにしていきます。ケイリーを救おうとする度にこじれていき、エヴァン自身も苦しんでしまいます。 ケイリーが叫んだ、「ならあたしを救ってよ!!」という台詞にとてつもなく胸が痛みました。その時エヴァンが流した、一筋の涙もとても切ない。「必ず迎えに来る」と約束したのに、結局は迎えに行けず、助けることもできなかった自分のふがいなさと、時の流れ、自分達を取り巻く運命を痛感した瞬間だったんだろうなあ。 とうとう追い詰められたエヴァンがとった究極の選択。それは、エヴァンにとって常に一緒でなければならなかった存在を「離れ離れ」にすること。それによってケイリーの未来は開けていくのです。愛する者の幸せの為、彼は自らの幸せを捨てることになったのです。こんな辛いことってあっていいのかぁあ(泣)。 最初で最後の二人の接触になってしまった、「さよなら」。別バージョンのエンディングはどちらもいらん!!でないと、この「さよなら」の意味がなくなってしまうと思います。颯爽と歩いていくケイリーはきっと不幸ではないでしょう。今なら彼女に話しかけてもきっと問題は起こりません。それでも声をかけなかったエヴァン。何度も過去を書き換え、何度も違う未来を作った。そのたびに周囲の人々に辛い思いをさせた。結果エヴァンは最後の選択をして彼女を守りました。だから、きっともう何かを変えることは許されないと思ったんだと思います。そしてそれは自分への「けじめ」でもあったんじゃないかなぁ。 過去は今を作ったいわば土台のようなもの。その上を生きていくのはその人の運命なのだろうと私は思ってます。悲しい思い出も、それが生きることの一部なんだろうな~。心に残るラストでした。オアシスの主題歌もとても良いです♪ 【ショップガールinNY】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-10-26 00:07:18) (良:1票) |
43.《ネタバレ》 ふと私は日記を書くのが嫌いな事を思いだした。懐かしい思い出が残り、気持ちが整理され今後に活かせる点も多いだろう。しかし残すより、忘れたいことも多い。これは私の弱さでもある。そういえばエヴァンは辛い過去を忘れたかったのではないのか。彼は「君を迎えに行く」気持ちさえも過ぎ去った思い出にしていた。しかし日記を読むことで欠けている記憶を取り戻したくなった。それは「現実のようだった」不思議な体験がきっかけだが、日記というのは、過去に生きるようにさせてしまうのではないか。結果ケイリーの忘れたかった過去を蘇らせ死に追いやってしまう。幼いころ、ケイリーは置き去りにされたような暗い眼でエヴァンを見送った。傷つくことを恐れ彼女もここでエヴァン(過去)を捨てたのかもしれない。エヴァンは「君を迎えにいく」のメモ書きを同じ暗い眼でケイリーのお墓に捨てている。彼女が捨てた思い出を、まだ自分は大切に持っていた過ちに気づいて捨てたかのような哀しい場面だった。しかし後悔は消えず、過去を変えてしまう。ケイリーへの想いを幼い頃のように純粋に持てたものの、消したはずの「怨嫌」の感情が誤算を発生させてしまう。またやり直しても友達の「怨根」が悲劇を招く。その原因の欠けた記憶、それをエヴァンはとうとう思い出してしまうのだ。誰もが持っているはずの過去というものは、いくら後悔してもそれ自体を変えることは出来ない。それがまず怖ろしい。そして過去というのは非常に捨てるのが難しい。忘れたくても刻んでしまうのだ。誰かを怨んでいないだろうか、後悔していないだろうか、辛かった心のキズはいまだ傷んでいないだろうか。それが今の自分を滅ぼすことになりかねないかもしれない。過去ときちんと向き合うことは大切だ。しかし決して変える事のできないそれに囚われすぎるとどうなるのか、この映画の怖さはとてもリアルなものだった。冒頭の脳のCT映像に重なる蝶の羽ばたきは記憶ではないだろうか。記憶の書き換えでボロボロに血を流すエヴァンは惨めだった。希望を持ちたくても、日頃心の奥底に隠してあるはずの過去を浮上させては、現状にやりきれない思いを抱えてしまうのは実際情けない。「過去を変えたい」エヴァンの有りようは、そんな人の弱さを実直に肯定しているような気がした。エヴァンは日記を捨てた。その心の傷みはこちらに十分に伝わってきた。とても良い映画だった。 【ひいらぎ】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-06-11 01:23:49) (良:1票) |
42.知人に強く勧められ、“主人公は過去を変える能力がある”という前知識だけで鑑賞。 いざ始まるとその能力はなかなか描かれず、時に記憶が欠落し不安にかられる幼年期の主人公が描かれます。これが安易に恐怖を高めるためだけのものでなく、話が進めばきちんとした理由があることがわかり、この映画の凄さを痛感します。PG-12ということで残酷なシーンも多々あり、かつ上質なスリラーでありながら、ジャンルワケするならラブストーリー。 “過去を変えられれば”と以前は思いましたが、この映画を観た後は現在を肯定出来るようになった気がします。終劇間近からエンドロールで流れるoasisの“あの曲”は、まさにこの映画の為にあったかのよう。声にださず口ずさみながら涙を流しました。観終わった後はぐったり。 【巷説犬福物語】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-06-10 00:07:34) (良:1票) |
41.今までに観たことがないタイプの良作。人間の精神的な部分をかなり緻密に描いている。過去を少しだけ変えることができる男の話だが、この作品からは「過去は絶対に変えることはできない、選択を誤るな」というメッセージが確実に伝わってきた。日常生活で後悔することはたくさんあるけれど、それを一つ一つ受け止めることしか僕らはできない。常に前を向いて歩こう。そんな風に思わせてくれる作品だった。 【こばやん】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-02-13 03:31:43) (良:1票) |
【クレイバード】さん [DVD(字幕)] 9点(2023-05-21 21:37:33) |
39.タイプリープして過去を変えるたびに、どんどん状況が悪化していく絶望感が凄まじい。最後まで決して飽きさせることはなく、ラストも切なくて素晴らしい。ラストは何バージョンかあるので、後からそれを観るのもおもしろい。 【アクアマリン】さん [ブルーレイ(字幕)] 9点(2019-07-21 18:48:18) |