7.完璧な人なんて、この世にはいなくて、人には誰にでも、いいところもあれば悪いところもあるわけで‥。だから、クラッシュには極悪人は出ていません。けれど、ほかの映画で極悪人として描かれている人も、みんな極悪人なんかではないのかも‥。。誰が悪いんじゃなくて、世界が悪いんだと思った映画でした。さすが作品賞。良かったデス。 【小星】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-08-20 01:34:14) (良:2票)(笑:1票) |
6.群像劇の王道みたいな作品で、何と言うか「まっとう」な作品。一口にアカデミー賞作品賞と言ってもいろいろな映画が取っているが、この映画が取ったときは地味な映画だったけど、凄く納得感があった。ただし、群像劇だと「トラフィック」の方が僕は好きだけど。
様々な人種に属する人々が暮らすロサンゼルスのある2日間をどちらかと言うと淡々と描いた映画なのだが、脚本が自然でありかつ巧みで観客を飽きさせない。メインの登場人物だけでも優に10人は超えているが、一人ひとりの職業や性格、バックグラウンドが効率的に描かれており、日本人の僕が見ても混同しにくいつくりになっているのが、特にうまいと感じる。人種の違いから来る感情的なすれ違いや経済的な格差。それらを原因として多くの悲喜劇が生まれ、そして消えてゆく。この映画が特定の感情を押し売りしてこないところ、あっさりとしているところも僕の好みだ。
こういう映画を観るとアメリカと言う国はつくづくすごい所だなと感じる。よくこれで治まってるなと感心する。英語をしゃべれない国民がこんなにいて、どうして一つの国としてやっていけるのだろうかと不思議に思ったりもする。そして、こういう国に住んでみるのも面白そうだなと思う。たとえ、この映画にあるように人種差別が横行していたとしても、それもまた刺激的だなと思う。 【枕流】さん [DVD(字幕)] 9点(2010-02-03 21:40:43) (良:1票) |
5.《ネタバレ》 アメリカという名の多民族国家には、実に様々な人種や民族が暮らしています。物語の舞台となるロサンゼルスには、特に多くの人々が共存しています。しかし、共生ではないのです。白人、黒人、アジア系、アラブ系、スパニッシュ系、数えたらキリがない程です。そんな街で起こる、様々な差別と偏見の物語をつづった映画です。映画は絶望感に満ちあふれており、様々な悲劇を引き起こします。その理由が、外見の偏見だったり、人種間のトラブルだったり、身分の差だったりと、多種多様です。これらがアメリカでは、日常的に起きている事実を考えると、いかに映画が悲劇的な内容でも、目をそらすことは出来ません。私にとってあまり得意でないジャンルですが、深く印象に残る作品になりました。出演者にはそれぞれ役名がついていますが、字幕では殆ど出てきませんでした。実際の台詞でもあまり強調されていないようです。ストーリーも画面に出ている人物主体の進め方になっています。これは一個人に起こる特殊な出来事ではなく、いつ誰にでも起こり得る話として、印象づけたかったからではないでしょうか。 【shoukan】さん [映画館(字幕)] 9点(2006-06-05 21:27:46) (良:1票) |
4.自分の心の裏側を見せてもらったような気がしました。 ぐっと我慢する男たちに共感。 ドン・チードルさんの存在感が光っていたし、マット・ディロンさんの威圧感に驚かされました。
アカデミー賞のお陰で地方でもこういう名作が劇場にかかります。 感謝!! 【たんぽぽ】さん [映画館(字幕)] 9点(2006-04-10 22:16:28) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 久々にこれほど高い点数付けられる映画に出会いました。正直オスカー受賞するまで全く気にしてなかった作品でしたが、受賞したのをキッカケに一度観てみようと思い鑑賞しました。それぞれの職業や人種が全く違う登場人物たちの人種差別をベースにした群像劇ですが、まずこの手の映画は1つのエピソードに話が偏りすぎたりしがちですが、本作ではどのエピソードも過不足なくバランス良く纏められていて、同じくオスカーを受賞した編集の巧さを強く感じました。特に主役が居るわけでもなく、それぞれのエピソードで登場人物の間で炸裂する衝突に次ぐ衝突。そんな過酷な運命に人生を翻弄される登場人物たちを見事に演じた俳優陣も素晴らしいの一言に尽きます。ドン・チードルとマット・ディロン、この2人の演技が特に印象に残っています。物語を通して、まるで現代社会の縮図を見ているような感じになったり、家族愛、恐怖、怒り、敵対、不信感など様々な感情や表現を僅か113分間に全て描き出したポール・ハギス監督の驚くべき手腕に今後の作品に期待を抱かずにはいられません。こういった仕上がりになったのも世界有数の他民族都市であり存在そのものがまるで登場人物の1人みたいな舞台であるロサンゼルスの効果も大きかったと思います。ラストの雪の描写も美しく希望を繋いでいくみたいな形で感動的でした。最後に少し私事が入りますが、1年半ぶりに映画館で映画を鑑賞しましたがそれがこの作品で本当に嬉しく思います。 【エージェント スミス】さん [映画館(字幕)] 9点(2006-03-29 15:36:13) (良:1票) |
2.まだ10ヶ月を残してますが、まず間違いなく私的2006年度No.1作品はこれになるでしょう。一つ一つは単純なエピソードながら、練りに練ったであろう脚本・編集構成に全く抜かりが無く、抜群に面白い群像劇に仕上がってます。役者も正に適材適所(ドン・チードルの印象的な顔で、少し「トラフィック」を思い出した)。物語は確かに人種的偏見を扱ってるんですけど、問題の根本は人種ではなく、「信用」と「思いやり」の欠如。人を見たら幼児誘拐犯と思わざるを得ない社会や、他人を思いやることがまるで「損」でもあるかの様な風潮は、単一民族国家のつもりでいるどっかの島国も変わりありません。この映画は個人と社会、愛情と憎悪、共感と反感、偶然と必然、不運と幸運、美徳と醜行といった、ぶつかっても決して混ざり合うことのない糸で織られた複雑な文様のタペストリー。そこに浮かび上がった余りにも不完全な人間の姿は、しかし、この上なく愛おしい、9点献上。 【sayzin】さん [映画館(字幕)] 9点(2006-03-03 00:03:35) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 白人>黒人>南米系>中央アジア系>東南アジア系という人種問題の構図を扱いながらも、テーマの本質は「人間」そのものを描いた作品。 人は誰しも、やり場のない悲しみ、苦しみ、怒りを抱えながら立場の弱い人を傷つけ、また逆に人に傷つけられて生きている。それでもなお、誰かに触れ合いたい、何かを感じたい、心の乾きを潤したいと求めずにはいられない弱い存在でしかない。オムニバス形式で短い時間で深く描きこめてはなかったが「人間」の本質を捉えた素晴らしい、いい映画だった。ブレンダンフレイザー以外の俳優陣の演技も素晴らしかった。フレイザーの役は妻の苦しみに全く気づかない、あるいは妻の怒りに相当うんざりしているというようなさらなる演技が必要ではなかったか。または、妻の苦しみに手を差し伸べるか、逆に振り払うかの流れもあってもよかった。中途半端でどっちつかずの役柄だった。 映画はよいのだが、個人的にはラストがどうにも気に入らない。東南アジアの人達を解放する黒人の笑顔がこの映画とマッチしていないような気がする。「笑顔」に対するうそ臭さではなく、ややちょっとこのエピソードが突飛というか、ずれている気がする。ラストは多数の人の交錯するシーンで終わればよかったのではないか。エピソード自体あってもいいけど、ラストに持ってくるものではないだろう。 また、人種差別者のマットディロンが起こした行動とマットディロンを嫌ってパートーナーの起こした行動の対比が見事だな。どんなに蔑んでいたとしても、自分の命を省みない行動を起こせるし、逆に人種差別なんてしない、仲良くなろうしても、心のどこかに人を信じきれない先入観が潜んでいる。自暴自棄になった黒人テレビ演出家を救った男のもう一つの行動に「人間」という複雑さ、強さ、弱さを感じられた。余談だが、隣の客がモノ凄い花粉症の人で常に鼻から「スピースピー」と訳の分からない音が聞えてきた。花粉症の人はこの時期大変かと思うけど映画鑑賞の際には周りの人の迷惑にならないように気をつけましょう。 【六本木ソルジャー】さん [映画館(字幕)] 9点(2006-02-27 01:49:27) (良:1票) |