1.《ネタバレ》 「潮風や ベーコンサンドと ヘミングウェイ」
この作品の邦題、俳句のつもりだったら、切れ字が必要ですね。添削しておきました。ところで「潮風」は季語なのでしょうか?
それはともかく。
なーんか、良かったですよ、この映画。
「喜び」を誰かと分かち合い、共有して、初めて「悦び」となる、ってな感じでしょうか。
リチャード・ハリスが何とも面倒くさいジジイなんですけど、どこか憎めない。でもやっぱりそばには居て欲しくないタイプ。
その彼が、ロバート・デュヴァル演じる寡黙なジイサンと出会って意気投合。いや、意気はそんなに合ってなくって、傍から見てるとそれが、コミカルでもあり、危うくもあり。
二人は一度は大喧嘩してしまう。草野球で活躍する少年の姿に、本来なら大喜びするであろうロバート・デュヴァルの姿はそこには無く、喜びを分かち合えなかったリチャード・ハリスの姿が金網ごしに寂しく撮される。
二人のジイサンが、二人乗りの自転車に乗ってる姿が印象的で。漕ぐのは、共同作業、だけど、どちらかが前。もう一方は後ろに乗らなきゃならない。それにしても、何でこんな自転車持ってたんだろう?
偏屈ジジイ役のリチャード・ハリスは何かと奇行に及ぶのですが、やたら脱ぎたがる、ってのもその一つ。惜しげもなくフルヌードを披露しています。そりゃ惜しくも無いだろうけど。ただ、彼の表情に刻まれた皺だとか、がっしりしつつも衰えを隠せない肉体とか、そういったものは、本人のキャラがどんなにハチャメチャであろうが、見ている我々に対し確実に重みを持って迫ってきます。
これが、老いるということなんだ、という、これ以上ない表現。
リチャード・ハリスの晩年というとダンブルドア校長役が有名ですが、本作の偏屈ジジイ役こそ真骨頂、と思えてきます。