6.《ネタバレ》 この映画の豪華かつ上品な雰囲気が僕はたまらなく好きなんです。 当時のMGM看板スター揃い踏みということですが、ガルボもクロフォードも両バリモアもウォーレス・ビアリーも冴えわたる演技を見せてくれます。伯爵も社長も余命わずかの老いぼれも、それぞれ窮地に陥り、それぞれの局面の中である人は数奇な運命を辿り、またある人は希望を手に入れる。それぞれの人生模様が絶妙なバランス感覚で浮かび上がり、そして物語として完璧に調和している。この映画は何度鑑賞しても、その都度に自分も“グランドホテル”に宿泊している客の一人になって、物語の中へ没頭してしまうような気がします。またすべての人々の人生にドラマがあり、また新たなドラマが生まれてくるであろうという予感を清々しく感じてしまいます。それにこの映画にさして関係のない、赤ん坊が生まれたエピソードを加えることで、どれだけ映画に奥行をもたらしたことか測り知れません。個人的には、窮地の中で人間の尊厳にかけてギリギリの境地を明るく(そして優しく)演じたジョン・バリモアが得に素晴らしかったです。鑑賞後にもあの独特の笑い方が胸に刺さったままでした。 【よし坊】さん [DVD(字幕)] 9点(2008-08-27 07:30:40) |
5.たくさんの人々の人生がグランド・ホテルの中を行き交う。そしてその人と人との間にも愛や友情や憎しみや恨み、怒りや嫉妬など沢山の想いや感情が行き交っている。一人の人間のストーリーではかたる事は決して出来ない人生。沢山の人達との関わりがあるからこそ、一人一人の人生がしっかりと浮き出てくる。群像劇は人生を語っている。この映画は数多くある群像劇の先端に立つ歴史的名作。 【ボビー】さん 9点(2004-08-06 11:04:21) |
4.考えてみればこの映画、限られた時間の配分の中でよくぞこれだけの人間関係や、エピソードを過不足なく描き切ったものだと、まず感服。しかもそれらのどれか一つが際立っていたり、逆に弱かったりが全くない。上手な絵のポイントはどこで止めるかだと聞いた事があるけど、まさにその言葉通りの天秤感覚と寸止め感覚は見事の一言。 【うこっけい】さん 9点(2004-06-05 21:14:59) |
3.ある特定の空間に複数の人物を登場させ、人生の縮図を描き出す「グランド・ホテル形式」という手法を確立させた記念すべき作品であるため、その完成度はまさに完璧といえる。経営不振の大実業家、落ち目のバレリーナ、死の宣告をされた経理マン、早記者、紳士の心をもつ偽男爵(泥棒)の5人それぞれが少しずつ絡み合いながら織り成す人生の縮図はただただ凄いとしか言いようがない。特に感銘を受けるのが、第一に雇い主である大実業家に虐げられた経理マンが初めて心の内をぶちまける場面、第2に、その経理マンの財布を盗もうとした男爵が、(本当に)人生に絶望した彼の心の叫びを聞き、情けから財布を返す場面。思えばこの物語の中で最も過酷な運命を背負っているのは彼なはずなのに、一番光り輝いていたのもまた彼であった。死期を知るまでは本当の人生ではない、限りある命と知って初めて人生は光り輝くのだ。その人生のあり方をこの映画は見事に表現した。そしてまた“一番親しむ者”の死によって人生に浄化の効果を与え、彼を救ったのだ。これを傑作と呼ばずしてなんと呼ぼう? 【クリムゾン・キング】さん [DVD(字幕)] 9点(2004-04-16 21:07:00) |
2.実に70年以上も前の作品。その事実にまず驚かされる。「映画脚本とはなにか?」「人物描写とはなにか?」「心象風景とはなにか?」そしてそれを「演じるとはなにか?」表方も、裏方も、映画制作に関わるすべての人にとって学ぶべき点はあまりに多い。ところで、あの愛犬はあの後どうなったのだろう?賛辞を送りながら、実はそれが一番の気掛かりだったと、失礼ながらも思ってしまう、もうひとりのワタシがいたりもする(笑) 【給食係】さん 9点(2004-01-18 03:34:05) |
1.グランドホテル形式という形を作った名作。人物同士の心がすれちがう様子がすばらしいです。やはり、群像劇の優秀な作品の一つですね。 【ジョン】さん 9点(2001-12-27 12:18:59) |