1.《ネタバレ》 この作品をSFと位置づけるなら、まさにSF映画のお手本級。CGやワイヤー技術に頼り「見せるだけ」の作品が多い中、当作品では人の心がきっちりと描かれています。
タイムパラドックスが云々、時代描写が云々、などの批判もありますが、SFの架空設定やCGは所詮作り物。無理にリアルに見せるのではなく、逆に想像力をかき立てるための道具として利用している点に、監督の映画手腕を感じます。ドキュメンタリーではないのですから、たとえ昭和三十年代に見えようが「懐かしい子供時代」を十二分に連想させる映像にも納得です。
別れた後に再会して何となくハッピーエンドかと思いきや、その後に2度も予想外の出来事が起こります。ここぞとばかりにCGを駆使した災害描写は、誇張が誇張と思えないほど綿密に計算され、無駄がありません。まだ続くの?と思わせるそのあとの展開では、最初からずうっと感じていた疑問を紐解いていき、最後は暖かい気持ちで包まれる・・・うまい作りです。
表情と動きが注目される難しい役柄を、見事に演じきった綾瀬はるかさんに乾杯!