1.シビれた!圧倒されました。警察署長である父、やはり警察官である兄、彼らとは正反対に、チンピラ同然の弟。警察とマフィアとの抗争の中に、彼ら家族の確執、絆、そして運命が描かれる、という、物語自体も確かに劇的で魅力的なんですけれども、何と言っても、映像の力強さが目を引き、映画に強くひきこまれずにはいられません。この映像には、温度が、時間が、深さが、確かに感じられます。この映像の持つ生々しさがあってこそ、物語が生きたものとなり、物語が生きているからこそ、映像もまた生きたものとなるわけで。アクションシーンをとっても、これほど「泣ける」カーチェイスが、かつてあったでしょうか(ごめん、あったかもしれない)。抑え気味のセリフが、かえって感情を雄弁に物語っているんだけれど、しかし、この映画の中で最も雄弁であったのは、弟役を演じるホアキン・フェニックスの後ろ姿、印象的な彼の大きな「背中」ではなかったでしょうか。出会えてよかった、と思える映画でした。