6.《ネタバレ》 1932年の世界恐慌が吹き荒れる中、1500ドルの賞金と期間中に無料支給される食事目当てに集まった場末のカップル達によって行われる壮絶な耐久ダンス・マラソン!!何と言っても先ず、この他に類を見ない絶妙なシチュエーション設定が勝因だろう。要所にインサートされる過去と未来のフラッシュバックもタイミングの上手さに思わず唸らされる。また、参加者の人物描写も類型的なグランドホテル型とは一線を画す、酷薄無残で容赦の無いモノとなっており、正に”鬼気迫る”迫力である。殊にダンス以前に既に人生に絶望し疲れ果てたヒロインのグロリアを見事に演じきったジェーン・フォンダはお色気専門の殻を打ち破るインパクトで見応えがあり実に優秀。もし、彼女がグロリアを演じていなければ、ラストのマイケル・サラザンの台詞「廃馬は撃つものでしょう?」が全く説得力を欠き、陳腐になってしまったハズ。他にもコンテストの司会でしらじらしいMCを連発するギグ・ヤング、心臓発作で死亡する老水兵役レッド・バトンズ、遂には発狂してしまう無名女優役スザンナ・ヨークも凄まじい熱演だった。シドニー・ポラックという監督は作品の出来にムラが多く、個人的にはどうも今イチ信頼のおけない監督だが、本作では”当たり”といって差し支えない力技の演出を見せてくれたので、ご祝儀で9点進呈。ただ…余りの救いの無さと後味の悪さで1点マイナス。 【へちょちょ】さん 9点(2005-02-21 01:04:34) (良:1票) |
5.原題、邦題を見るだけで左胸の痛みが蘇ります。何度見ても辛い。内容は皆さんが書かれているその通りです。60年代のJフォンダは、ロマコメでの愛くるしさ、夫バディム監督仏作品でのセクシーさが最高潮なのですが、そのすぐ後この辺から、私たち女性観客をぐいぐい惹き込んでくれます。この作品をはじめ諸名作出演+彼女の実力発揮30才代+70年代の風潮、そしてビデオデッキなどない、各場面への執着→と重なって、どうしようもなく切なくさせられる大女優。(フラ語の影響か)ぶっきら棒にまくし立てるかと思えば、一語一語ゆっくりセリフを吐いて泣かれると、もう見てる方はお手上げ、涙腺は溶け出すばかり。最後のダンス会場と揺れるCAST文字を冷静に見れたためしがありません、ごめんなさい。 【かーすけ】さん 9点(2003-07-13 09:28:09) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 人生の縮図のようなマラソンダンス。どこの世界もこうだろう。自分はリストラ競争に巻き込まれた自分を見てた。それにしてもシドニーポラックは「追憶」といい、男役に自分がないのが多いね、この作品も・・。ジェーンフォンダは何故、挫折したのか?そもそもがこのレースを人生ととらえるなら、パートナー選びが彼女は雑だ。ルールの壁の前で、単身いきり立つ。結局、反体制なだけなんだね。まさしくニューシネマ。そして彼女は自分があるようでいて、結局自分がないのだ。このマイケルサラザンがただの風来坊だったからか・・。ここにアメリカの男性の象徴的存在を見るのは穿った見方だろうか?ベトナムに反対できぬ国内の世論に、ジェーンフォンダを代表としたアメリカの女性たちの不満が描かれてるのかもしれない。シドニーポラックは、こういうの好きだね。女性受け狙った? 【トント】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2015-03-08 03:04:41) |
3.《ネタバレ》 70年代以降大作メロドラマを作るシドニー・ポラックがこんな異色作を撮っていたとは驚きですが、本作は間違いなく彼のベストフィルムです。でも、公開時にこの映画を観たら、きっとトラウマになったと思います。大恐慌時代のアメリカが舞台ですから、参加者には食べ物は確保できるという利点がありますけど、1か月以上続くダンスマラソンなんて想像を絶しています。すごい話です。参加者はダンスをしながら(みんな疲労困憊して体をゆすっているだけですが)バンド演奏、司会者付きで、自分たちの人生を観客に見せているような感覚におちいります。そしてレッド・バトンズは心臓発作で死んでしまうは、スザンナ・ヨークは発狂するは、最後にはジェーン・フォンダは自殺(?)してしまいますが、それでも競技は決着がつかずダンスマラソンは続くのです。“They Shoot Horses Don't They?(廃馬は射ち殺すんでしょ?)”は、マイケル・サラザンが最後に言うセリフですが、現在の社会情勢に通じるものがありませんか。悲しいことに、本作で名演技を見せてオスカーをとったギグ・ヤングは、その後史上唯一の自殺したオスカー受賞俳優になりました。 【S&S】さん [DVD(字幕)] 9点(2009-04-02 21:26:34) |
2.(ネタバレ?)フラッシュフォワード、つまり未来の映像の断片ですね、それらが絶妙なタイミングで挿入されていて、観客のテンションを持続させることに成功している。最近だとメリル・ストリープの「母の眠り」でもほぼ同じ手法が用いられていたのだけれど、うっかりこの映画を観てしまっていたせいで、なるほど、レニーが思い余ってメリル母ちゃん殺しちゃったんだな、なんてあらかじめ決めつけてしまい、ラストで思いっきり肩透かしを食ってしまった。こういう弊害もあるんだなぁ・・・。 【じゅんのすけ】さん 9点(2003-07-12 05:28:55) |
1.金もなく仕事もなく、ただ映画の仕事に携わることにかすかな夢を抱いてやって来た男女が、不況という絶望感の中から生まれたグロテスクで狂気じみた、マラソン・ダンスというダンスの耐久レース・ゲームに挑戦する。その中で、ハリウッド入りの夢もなくし、自殺願望にさいなまれる女と、彼女をなんとか立ち直らせようとする男。しかしその男にも未来に希望がなく賞金すら貰えなかった。やがて虚しいゲームのあとついに女の自殺に手を貸し、自らも死刑になる。映画は彼ら以外にも同じような境遇の男女の人間模様が冷徹に描かれていき、観ていて苦しくなるほど身につまされる。かつてこれほど絶望的で救いようのない悲しいドラマをほかに知らない。 【ドラえもん】さん 9点(2001-02-26 00:04:48) |