5.《ネタバレ》 久々に大当たりの映画でした。
今の所、今年一番の映画です。
あの名作、逃亡者のハリソン・フォードが
自分の罪を晴らす為に、理知的で用意周到で冷静で時に神出鬼没な外科医だとすれば
ラッセル・クロウは腹の出た、ごく平凡で、真面目なマイホームパパ
しかし、家族の為には何もかも投げ捨てる情熱家。
こんな対比でしょうか。
ともあれ、そんな男がある日いきなり
妻が無実の罪で投獄され、あれよあれよと言う間に
第一級殺人で、終身刑を言い渡されてしまう。
と、まあ、ココまではある意味でオーソドックスというか定番の筋立てなのですが
いかんせん、脱獄計画を立てるのが、妻や子を思う気持ちばかりが先走る、ズブのド素人。
脱獄のプロとやらに御高説をタレてもらって、神妙にメモを取るのは良いが
裏稼業との接点見つける為に
自分のプリウスで必死に走り回りながら、クソ真面目にドラックを買い込むこの機転の無さ。
どうしよう、どうしよう、という気持ちばかりが募って、何度もドジを踏む。
ああ--持ちカネも無くなるし、やっぱ無理ジャン、駄目っぽいじゃないのと
見てるコッチまで心配になって来た矢先
いきなり妻の身柄が遠方の刑務所に移送されると聞いて
プッツンとキレたが故に冷静さを取り戻すが
それにも増して圧し掛かる緊迫感と悲壮感、どうしようも無い行き詰まり感。
これを脂ギッた顔面一杯で表現してしまう辺りは、さすがラッセル・クロウです。
終局はあえて申しませんが、この映画。
本当にプロットが巧みであると言わざろ得ません。いや、ホントに。
刑事「そう言えばボタンが取れたと言ってたな」
言ってたなぁ???
それを真っ先に探すのがお前等の仕事だろボケ!!
ど素人に探し当てれる様な麻薬工場放置して、麻薬取締りとか言うなボケ!
こういう事柄は主人公が取らざろ得なかった超法規的措置を
正当と言わざろ得ない根拠と成っています。
いまチャリンと音がした???え?したかな???
どっちだよ!!
ズサンな捜査と、それに反比例する行き過ぎた物証主義が、逆に冤罪を作り出す。
内実を知っている人ほど寒気がすると思いますが、この映画は
白は白、黒は黒で、灰色を認めないアメリカの病理をも同時に抉っている。
こう言わざろ得ないのです。