3.反吐が出るほど腹が立つ内容です(褒めてます)。
そこには一切の妥協はありません。
この映画を観た方は、子どもを苦しめた加害者たちを心の底から嫌悪するでしょう。
これは加害者、子役の演技のたまものであり、性的虐待のシーンを逃げることなく描いていることにもあります。
そのシーンのおぞましさ、恐ろしさはまるでホラー映画のようでした。
さらに『憎い』相手は、性的虐待の加害者にとどまらず、韓国という国そのものへも向けられています。
社会的地位と金がある者は守られ、弱者が食い物にされ、このような事件が起きているのにもかかわらず自分の保身に走る大人たちの描写は脳天かち割りたくなること必死です。
しかしそうして『憎い』と思えることは、本作の最も優れた点でもあると思います。
子どもたちがどのような辛苦を強いられてきたか、それが、登場人物と同じ目線でわかるのです。
自分は子どもたちと、それを守ろうとする主人公にめいいっぱい感情移入してしまい、泣いてしまうシーンが多々ありました。
この映画により『トガニ法』という法律が制定され、性的虐待への厳罰化が図られたのも、そうした描写が欠けておらず、多くの人へこの問題を訴えることができたためであると思います。
日本の方がこの映画を観て連想するのは、今年に起きた大津市のいじめ事件でしょう(もはやいじめではなく、殺人ですが)。
こちらも大人が、自分の保身のために事実を隠蔽していました。
さらに日本でも恩寵園事件というものもあり、この映画で描かれたような虐待は、決してこれが初めてというわけではありません。
目を背けてしまいそうな事実でも、私たちは再発防止のためこの事実を知る必要がある・・・そう思わせる力がこの映画にはありました。
残念なのが、R18+というレーティングです。
性的虐待のシーンを生々しく描いているとはいえ、性犯罪を助長させるようなものではありませんし(むしろ嫌悪するはず)、若い人にも観て欲しい作品だと思います。
せめて、R15+指定どまりにして、高校生でも観れるようにして欲しかったです。
全くインモラルな内容でないのに、「観てはいけない」としてしまう判断には疑問符がつきます。