4.スーダン内戦とは何か。政治、民族、宗教、色んな背景はあるのだろうけど、前半のアフリカのパートからは
ただ平和に暮らしていた彼らの小さな村に兵士がやってきて容赦なく彼らに銃弾を浴びせ、
一緒に暮らしていた仲間や家族が命を落としていく様を容赦なく見せる。
命からがら村を脱出し、ケニア国境までの長い長い道のり。
親を殺され、子ども達だけで逃避行を続ける彼らにさえ容赦なく銃口が向けられる。
「僕は生きたい。死ぬのは嫌だ」の台詞が胸に突き刺さります。
苦難の果てに彼ら兄弟は難民キャンプにたどり着き、やがてアメリカ行きの許可がおりる。
まだ食べられる食品を廃棄する必要も、家電製品も電話も必要の無い暮らしをしてきた彼ら。
彼らとアメリカ市民、モノにあふれたアメリカ社会との関り方をユーモアを交え描かれるアメリカパートの前半もいい。
アメリカに入国できた彼らは幸運でしたが、拭い去ることの出来ないアフリカでの記憶と、
全く違う価値観の社会でゼロから再出発する彼らの苦悩もまた、しっかりと描かれています。
本作でスーダン難民の兄弟を演じた俳優達は現実でも元スーダン難民で、少年兵だった者達も含まれています。
演じた彼ら1人1人にも言い尽くせぬ困難があったことでしょう。
彼らがアメリカに入国して間もなく、アメリカは彼らの受け入れに対し非常にシビアになっていきます。
9.11の影響は本当に救いの手が必要である善良な彼らにまで及んでいました。