5.すごく豪華な映画。
多数の実機を惜しげもなく使用、破壊。超リッチ。
当時は掃いて捨てるほどあったのだろうか?
20機のHe111がズラーッと並ぶオープニング。
背景もすごくて、英空軍の管制室、ヒトラーの御殿?とかベルリン市街とか壮観。
常にいろんな人が何か動いている空軍基地。
登場兵器はスピットファイア、Bf109、He111、ハリケーン、Ju87、Ju52、等。
ダイムラー装甲車、ドイツの88ミリ砲がちらっと出ていた。それとダンケルクのドイツ軍が
アメリカのハーフトラックに乗っていたのがちょっと変だった。
Bf110はまったく出ず。その他のドイツ爆撃機とか、
両軍のマイナー機なども登場していたら、軍用機大図鑑になったかも…。
戦闘シーンはよくできてる、けど不満なところもあった。
機銃の弾道や、マズルフラッシュの描写がない。
爆撃シーンにしても、落ちてくる爆弾が見えず、
まるで仕掛けてあった爆薬が爆発しているように見える。
この映画だけの問題ではないけれど…。
ドイツ側にも丁寧な描写をしているのがすばらしい。
パイロットも将校も英国側と同様に人間味のあるキャラクターとして描かれているし、
ヒトラーの演説に聴衆が歓喜するシーンなんてのもある。
戦争映画としてはあまりシリアスでないばかりか、ジョークのように感じられる部分まである。
戦争映画までジョークにしないと気がすまない国民性なのか。
この映画を観ていると、日本との文化の違いを感じずにはいられない。
日本では戦争を始めた負い目とか、こっぴどく負かされたトラウマからか、
戦争というものをひたすら悲劇的で忌むべきものとしてとらえる傾向があるけれども、
この映画からはそのようなある種ヒステリックなものは感じられず、
イギリスにはそのような屈折はないのかなと。目からウロコだった。
一方的に加害者の側に立つアメリカの意識ともまた違う。
不満点もないではないけど、全体的に見て、
戦争体験が時間とともに風化していくなかで、英本土航空戦の映画として
これだけのリアリズム、臨場感、迫力を持ったこの映画を上回るものは、
もう永遠に作れないのではないかと思う。
DVD版は別の音楽も収録されてるけど、ドイツ軍のシーンなどはかなり印象が変わる。