2.《ネタバレ》 再見。やっぱりメチャクチャ面白いぞこの映画は!
ホークス入門にも打ってつけ、アフリカを舞台に西部劇さながらの“追跡”アクションが詰め込まれた面白い映画だ。
ジョン・ウェインとホークスのコンビは「エル・ドラド」や「リオ・ブラボー」、「リオ・ロボ」「赤い河」とあるが、俺が一番好きなのはコレ。ウェインが一番優しい映画かも知れない。
冒頭から広大なサバンナで何かを探すように双眼鏡であたりを見回す男たち、遠くに点在するもの、何かを見つけ、無線で合図を送り、一斉にジープを飛ばし獲物めがけて突っ走る!
水牛の群を切り裂くように、ハンターたちの視点で猛然と走るサイに並走し追い続けるスピード(尊敬する存在でありライバルでもあったジョン・フォードさながらの映像)、サイも捕まるものかと角を突き立て体当たりを繰り返すド迫力。キリンも凄いスピードで走ること。
男も、女も、動物もみんな活き活きしていてひたすら楽しい。そこに国も人種も動物もない、追われたら追いかけ返し、一つの仕事によって対等に渡り合い結ばれていく。だからホークスの映画は大好きだ。
下着姿で飛び出し乗り込み車の中でボトムス(ズボンは死後ですかそうですか)を履いてしまう写真家エルザ・マルティネッリの元気さと可憐さ、運転から治療までこなすブランディの色っぽさ、ロケットブッ飛ばして家を貫く動物嫌いのムードメーカーであるポケッツ、挨拶代わりに拳を浴びせる射撃の名手チップス、それを受け入れ良き相棒になってくれる古参の頼もしさハーディ・クリューガー、寡黙だがダンディな髭が印象的なヴァレンティン・デ・ヴァルガス、風呂場や寝室にもちょっかい出すキュートなネコ(科のチーター)ちゃん、拾われ水浴びしてくれた恩人のために市街地を駆け抜け缶詰の山を粉砕する可愛い子象たち(ヘンリー・マンシーニの「小象の行進」に合わせてピクニック気分で水浴びに出かける場面といったら!)、地元でウェインたちをサポートし続けてくれるマサイ族といったアフリカの人々。
そして父親のようにみんなをまとめるウェインの存在。
頼まれた仕事も大事だが怪我人最優先で引き返したり、寝室を不法占拠されても黙って譲り、わざと憎まれ役を買って新参たちがチームに溶け込むのに一役買ったり、子供の様に邪気な恋に挑む仲間にアドバイスしたり、飛び出していく仲間を見守るためにたった一人で後を追ったり。
みんなが楽しくピアノを弾いたりハーモニカを吹いて楽しくやっている時も、静かに見守り続ける。でも惚れちまったら粘り強く引き下がらないけどな。恋愛に年齢は関係ない。その精神は「リオ・ブラボー」の頃から変わらない。
ベッドの上の来訪者をめぐり酔っぱらった男たちが次々に訪れ同じセリフを繰り返したり、仕事のプロたちが動物や女性陣に振り回されたり、とっさのこととはいえ不慣れな荷台の上で倒れまくり受け止めた人がおっぱいを触ってしまったりギャグのキレも抜群。
動物たちとのやり取りも面白い。
小象に乳をやるのにヤギを大量に捕まえ、そこに小象が突っ込んできてパニックになりアチコチ走り回り(羊のミルクを被り黙って苦い顔をするウェインに爆笑)、猿の大群を木に登らせロケットでまるごとひっ捕まえ木を薙ぎ倒してしまう!鳥籠までヘルメットにして。
動物狩りも世話をしたり依頼人たちに送り届けるために絶対殺せない・生きて捕まえることを徹底する暗黙のルール。
撃つのは威嚇射撃で無駄な殺生を避けるため、新人試し&歓迎の射撃訓練のため、仲間の危機を救うために。ライフル握ってたその手で動物を生け捕るために奔走するのだから。仕事は違えど、住民を守るために殺ってしまった男にも気を遣うプロフェッショナル同士の思いやり。
段差だろうが河だろうが走り抜け、土煙をあげながらサイやキリンやシマウマを追いかけ、投げ縄で捕縛してもまた逃げられるかもしれない、檻に誘い鍵を閉めるまで気が抜けないスリル。河を渡る時でさえちょっとでも止まればワニが迫り来る。
ドアを開ければ象が雪崩れ込みベッドを潰してしまうのだ。