1.《ネタバレ》 原作のアイコを研磨してすっかりカドを落とした感じがするのは、その面白さでもある、彼女の一人称で語られる若者らしい考えの数々が、映画では見えないからだろう。
その代わり、さすが女の子映画の旗手、今関よしあきによる目にも楽しい美少女たちの、ごく普通の学校生活が楽しく美しく描かれている。
その辺、方向を違えていくのかと思ったら、数々のエピソードの中から、生き死にというテーマにそって、オリジナルとして首吊り死体発見や新任教師の自殺騒動など加えながら、次第に原作通りのクライマックスへ誘う展開は巧みである。そしてそれとは繋がりそうもなかった紅子の問題も、自殺未遂教師の件で着地(完全にではないけど)させているのも巧い。
しかし、今作の最大の魅力は、なんといっても(あんまり活躍しないが男子も含めての)高校生たち。夏の強い光をそのまま反射させているような、その輝きだ。ちなみに最後のシーンは本来年末の設定だったが、映画はすべてを夏(少なくとも夏服の時期)として描いている。これも正解。若い魅力にはまぶしい光がよく似合う。