10.日本映画のサイレントを生まれて初めて拝見しました。今まで僕が観て来たサイレント映画はチャップリンだけだったので、観る前は正直期待よりも不安の方が上回っていました。そして映画が始まった途端に僕は戸惑いました。その理由(わけ)は馬鹿らしいのですが、完全な無音無声だったからです。今まで観て来たチャップリンのサイレントにはとりあえず音楽がありました。音楽があるのとないのではこんなにも違うものなのか…と軽くショックをうけました。音楽の全くない部屋の中で、音の流れないテレビと一対一で無言で向き合うのは、何故か気まずさと恥ずかしさがありました。笑)こんな事は初めての経験だったので凄く戸惑いました。しかし、ストーリーが進むに連れて無音無声である事をすっかり忘れていました。そして気付けば画面に釘付けになり、のめり込んで観ている自分がいました。さらに、始めは字幕の出ないボディーランゲージのような演出にあんなに苦戦を強いていたのに、終盤ではしっかり理解できている自分自身にとても驚きました。そして鑑賞後はいつもの小津作品と何ら変わらない気持ちの良さに浸っております。振り返ってみると本当に凄い映画であり、素晴らしい事が身に染みてわかりました。やはり、この小津作品もサイレントだらかと言って、音のある小津作品に一歩も引けをとらない程完成度の高い、素晴らしい作品でした。 【ボビー】さん 9点(2005-02-16 21:16:37) (良:2票) |
9.《ネタバレ》 僕がまだまだ未熟だからなのかも知れませんが、やっぱり僕は戦後の小津作品より、このあたりの作品群の方が断然好きです。フィルム全体にみなぎるエネルギー。溢れんばかりの活力。これぞ活動屋の仕事というやつでしょうか。一体どうしたらこんなに無邪気で可愛く、そして活力のある描写ができるのでしょうか。素晴らしいです。子供同士が作り出す社会はそれはそれでちゃんと存在します。可愛らしくて、単純で、そして滑稽ではある。でも、そんな子供の目から見た大人の社会も、実に奇妙で、馬鹿馬鹿しく、そして子供以上に滑稽なもの。この見事な風刺。しかし、この風刺は恐ろしいまでに真理だと言えるのではないでしょうか。そして、そこには新しいとか、古いとかいう概念は存在しないのかも知れません。いつの時代でも変わらぬ、変えようのない真理。そうゆう意味では、本作が描いているのはあらゆる時代の「今」でしょう。そして、この映画にはそれを受け入れる包容力までもがしっかりと刻み込まれています。それが僕の一番のお気に入りのカット。つまり、二人の息子が情けない父親の姿を見て、「御飯なんかたべてやるもんか!」とささやかな抵抗を見せた後、庭でおにぎりをパクリとやるカット。親子三人同時にパクリとおにぎりを口に運ぶ。このたった一つのカットで、親は子を受け入れ、子は親を受け入れるのです。そして、人間社会の営みというものを受け入れるのです。「心」とは目に見えないもの。だからキャメラに写るわけはありません。でも、このカットにはしっかりと「心」が刻み込まれています。目には見えない「心」がキャメラに写る。映画とはそういうもの。何気ない日常という現実の中で、見逃してしまいそうな「心」をキャメラが写し取る。このカットこそが、いわゆる「小津調」というものではないでしょうか。間違いなく普遍的価値を有した傑作だと思います。 【スロウボート】さん 9点(2004-12-25 00:19:52) (良:2票) |
8.これは良い映画です。日本のサイエント映画は初めてで、チャップリンの映画みたいに音楽がないのに戸惑いましたが、見ていくうちに慣れました。子供が大人の現実を見て一歩成長する、というのが主なテーマでしょうが、親の上下関係が子供の人間関係にも影響を及ぼすというのがもう1つのテーマだと思います。このテーマは扱うと重くなりそうだけど、会社の偉い人の子供が威張ってなくて(というか、威張るだけの知恵があるほど大きくない)すっきり見られるのも好印象。昔ほど子供が親の身分や偉さに縛られなくなったという点で、人間関係の希薄化も悪いことばかりではないと思ってしまいました。 【川本知佳】さん [DVD(邦画)] 9点(2014-06-08 07:24:45) |
7.《ネタバレ》 次男の突貫小僧(なんちゅう芸名や)がまるでコメディアン。 「おなかをこわしてます。食べ物を与えないでください」って山田洋次がパクってたぞ。 小ネタ満載で小津作品で一番好きな作品。 【きーとん】さん [ビデオ(邦画)] 9点(2010-07-20 21:25:51) |
6.《ネタバレ》 タイトルから予想するちょっと悲惨な展開とは大違い。チャプリンを彷彿させるコメディの傑作でした。正義感強く賢そうなお兄ちゃんと、ちょっとトボけて可愛らしい弟のコンビが織りなす日常でのちょっとした出来事(彼らにとってみればちょっとではないのかもしれませんが)を温かく丁寧に描く前半だけでもかなり面白いのですが、尊敬する父親が実はあまり偉くなく友達の父親である上司にゴマ擦りするのにショックを受けるくだりは見事なストーリーの転回、そして最終的に子供は父親の気持ちを理解したうえでもやっぱりわが道をいくオチが好きでたまりません。日本にもこんな素晴らしい才能をもった映画人が居たということに驚き、誇りに思います。 【ponsuke】さん [地上波(邦画)] 9点(2007-02-24 09:51:33) |
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5.《ネタバレ》 小津のトーキー作品はリズム感のある台詞が一つの魅力だが、台詞がないどころか音楽もない本作であってもカットやカメラワークや笑いがリズムを感じさせてくれる。子どもにとって父親は誰よりも偉いはずの存在。そんな父親が友達の父親に頭を下げている姿を見て偶像破壊によるショックを受ける子ども。自分の拙い人生を子どもに指摘され、さらには非難される父親。――父「お父さんだってこんな風になりたかったわけじゃないんだ・・・なりたかった訳じゃない。・・・しかしだな、しかししょうがないんだよ。人に頭下げながらでも働かなくちゃならんのだよ」―兄「やだぁい、やだぁい。そんなの分かんないやぁい。そんなのやめてしまえやぁい」―弟「やめちゃえやめちゃえ」―父「お前達の為でもあるん・・・」―弟「やめちゃえやめちゃえ」――そんな会話が脳内で繰り広げられる。最後には大人の世界を少しだけ理解する兄弟。些細な幸せを守り続ける父親。人生における最大の問いに向き合う親子をミニマムに映し出した、紛れもない傑作。 【stroheim】さん [ビデオ(邦画)] 9点(2006-04-18 06:00:52) |
4.既に皆さん、書かれてますが本当に面白い。日本の映画でサイレント映画があったんだ!しかも音楽も一切無いのに面白い。サイレント映画の特色を見事に生かした小津監督の手腕はお見事としか言いようがありません。子供の眼から見た大人達に対する皮肉をたっぷりに描き、しかも徹底したリズミカルな動きと少ない字幕だけでこんなにも可笑しく見せてしまうその凄さ、さすがは小津監督です。参りました。 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2005-08-15 20:14:06) |
3.最初「おいおい古すぎだろ・・・・(汗)無声だし、とって”ゐ”た、とか書いてあるし」とひいていた。が、いつの間にやらぐいぐい引き込まれ「アハハハハ・・・・」と、楽しみました!いい物はいいって、使い古された慣用句だけど本当だねえ!お父ちゃん挨拶してきた方がいいよ、で父親を許した子どもたちにじ~ん(*^^*)しかしこんなの見てると、またしても「若いのに渋いねえ~」っていわれちゃうなあ。まあいいか。 【かなかなしぐれ】さん 9点(2003-12-06 08:22:13) |
2.子供から見る大人社会が繊細な子供の視点でうまく表されている。こういった子供映画はマジ好きだな。すっげー古いのに観てて全然飽きない。 【たましろ】さん 9点(2003-10-13 20:26:59) |
1.どこにでもいそうな家族の、他愛無い物語。当時の父親・母親像が垣間見える。ちょっとお父さんが可哀想だったかな。子供は純真無垢だからね。 【さくら】さん 9点(2002-07-27 23:00:23) |