5.《ネタバレ》 音楽&伝記もので面白い映画を探している人に是非ともオススメな作品であり、加えてアンドレイ・タルコフスキー好きにはもっとオススメしたい作品。
タルコフスキーの盟友であるセルゲイ・パラジャーノフが送る不思議な音楽伝記映画。
アルメニア生まれの詩人サヤト・ノヴァの生涯を独特の映像世界で描いていく。
タルコフスキーのような映像の美しさ、狂気、幻想的な空間。
ノヴァの恋人からミューズや天使と複数の演技をこなすソフィコ・チアウレリの見事な演技。
普通、前衛的な映画はストーリーが無いので難解で取っ付き難い。
だが、この物語はノヴァの生涯に渡って繰り返される苦悩が強烈な映像によって綴られているのだ。
いかにノヴァが苦しみもがいているのかを、少しでも眼で感じられるように。
もしかしたら、言葉では現せないほどの苦悩とノヴァは戦ったのかも知れない。
物語で流される柘榴(ざくろ)の“鮮血”は、彼が血を振り絞るほどの苦悩を繰り返したという事なのだろうか。
「我が生と魂は苦悩の中にある・・・」のセリフと共に。
生涯に渡って渇き、潤いと安らぎを求めた詩人の数奇な物語。