1.《ネタバレ》 ジャン・ルノワールはこの「ピクニック」が初めてだった。これは俺が一番好きなルノワール作品。ルノワールは「ゲームの規則」や「大いなる幻影」よりもこういう小品の方がメチャクチャ面白い。
とても優しく切ない映画だが、ルノワール特有の水、水、水の描写が最も際立った映画だと思う。40分の短い時間にとても楽しく、とてつもなく悲しい恋の話が描かれていく。
短編映画の魅力が何なのかというと、時間に追われるスリル、時間と格闘するような緊張を味わえるところ。
それは中篇の犯罪映画「十字路の夜」における高密度のスリルにも言える。
この映画は川の流れの美しさで癒されるが、同時に許されぬ想いに身を焦がす男女の愛をサスペンスフルに描いている部分もある。「大いなる幻影」で銃に狙われる一瞬の緊張よりも、男女が一線を超えてしまう一瞬の方が緊張する。
緩やかな流れる川は、結ばれない男女を冷めた眼で見守る傍観者(監督のルノワール自身)でもあるようだ。
皆さんもポイ捨てだけは絶対しないように。物も女性も。
この映画では傍観者の川も、「南部の人」や「スワンプウォーター」では容赦なく人々に牙を向ける。
この作品の後に「ゲームの規則」とかを見るのがいつも楽しみです。