1.《ネタバレ》 原題が「ショック廊下」であり、精神病院のこの廊下を、ルネサンス以来の中心遠近法が見据える。これがまさに「異常」を隔離・排除する「理性」のあつかましい視座であり、この視座(つまりは観客の視座)をこの映画は撃つのである。最も強烈な話題は、KKKに同一化する黒人患者で、つまり支配的な「ものの見方」に主体として参入することへの彼の切なる欲望にも拘わらず自らの存在が無惨に(発狂するくらいに)分裂しているのである。患者のフリをして潜入しついに殺人犯を見つけ出す主人公自身の「理性」も、やがて報復されなければならない。ラストの廊下シーンの客体として現出する主人公の視座を観客も引き受けなければならない。見ることは見られることなのだ。