1.名匠ジョン・フォードが初のオスカー(監督賞)に輝いたのは十八番の西部劇にあらず!何と自らのルーツであるアイリッシュテーマの沈鬱な一作であったのは実に意外に感じる。しかも重く暗い本作の主題を体現する主人公ジポーを演ずるはヴィクター・マクラグレン!!フォード一家の大番頭といった風情の豪快で渋い玄人好みの名優だが、本作で卑劣な裏切り者の葛藤と魂の救済を見事に演じ切りオスカー(主演男優賞)をゲットしている。少なくともジョン・ウェインではこうはいかなかったハズ。オスカー脚本賞にも輝いた名シナリオを書いたのはダドリー・ニコルズだが、受賞を拒否している。後のマーロン・ブランドやジョージ・C・スコットの遥かなる先輩が此処にいた!フォードの演出は最高の素材を最大限に活かして息をも吐かせない圧倒的迫力であり、テーマの重さに引きずられない力強さが魅力的。こんな巨匠にも二度と出逢えまい。フォードに限りない敬意を込めて9点。