1.《ネタバレ》 ゴールドラッシュに沸く西部の町カスター。まずは、この町に殺到する人々、無数の幌馬車行列のスケール感に圧倒されます。カスターの町は、悪徳保安官ハンターによって牛耳られているのですが、そこにフラリと現れたるは、3人のお尋ね者。これがモンダイの「三悪人」な訳ですが、そのポンコツオヤジぶりが、何とも憎めません。三悪人、今日も今日とて、荒野を行く馬の列を発見。馬泥棒に及ぼうとするものの、他の馬泥棒に先を越されたもんだから、逆にこれを撃退した挙句、襲われていた娘さんを救出しちゃったりなんかして。と言う訳で、娘さんと、彼女をサポートする三ポンコツ親父、との珍道中。「3人(のポンコツ)が守る」ってのがミソで、その後の映画でもお馴染みのテーマであります、ってな感じのことをDVDの解説の淀長さんが言ってましたが、私はとりあえずディズニーの『眠りの森の美女』を真っ先に思い出してしまいました、こちらは魔法使いには似ても似つかないキタナイ親父3人組ですけれども。さて、3人は、娘さんの婿を探そうなんぞと要らぬお節介を焼いたりするのですが、コワモテ親父が因縁をつけるかのように婿探しをするもんだから、うまくいく訳もなく、この辺りが実にユーモラス。チャップリンをそのまま超美男子にしたような優男とのやりとりが笑えます。そうこうしているうちに、娘さんは、道中ですでに知り合っていたカレシと再会、ごっつええ感じのまま、いよいよ、土地争奪大レースの日を迎えます。この大競争シーンこそが、本作の白眉とも言うべき、圧巻のシーン。物量を駆使したスケール感と、迫力あふれるカメラは、見ごたえアリマクリです。という派手なシーンのあとで、ついに迎えるハンター一味との対決。ひっそりと誰にも知られることなく、名もなき3悪党が、命を投げうって娘さんを守る姿にはもう、シビレまくりです。ああ、これぞ西部劇だよなあ、としみじみ。一方、競争に出遅れ金を手にできなかった名もなき庶民が、「でも農地を手に入れることができた」というあたりにも、この映画の優しい視線が感じられます。でもでもやっぱり。この“早い者勝ち”という文化、どこが公平なのか、理解に苦しむよなあ。