1.当時の状況としては、列車が登場する様な大掛かりでしかも屋外で撮影された劇映画は他に類を見なかったんじゃないかと。全くのフィクションにも拘らず実際の事件を実際に撮っている様に錯覚してしまう、云わばリアリティーをもちあわせた映画だったんだと思う。そういう意味においてメリエスのニュース映画やリュミエールの記録映像とは一線を画するものだと思った。有名なラストカットは「観客に向かって」発砲するカットと一般には解説されている。まあ確かにそうなんだが。私の感覚は「カメラマンに向かって」発砲したカットというふうに捉えられた。つまり解釈するならばこの映画は列車強盗を密着取材したカメラマンが最後に撃たれるというていのものなんじゃないかなと思った。もちろん制作の上の話としてはたまたま撮ったあのショット(しかもはじめは別の位置に挿入されていたそうだ)が予想外に観客にウケて最後に付け足す様になったということらしい(私の完全な想像ですが客を驚かせる仕掛けとしてあのタイミングで空砲乃至は爆竹を鳴らしていた映画館もあったかもね?)。まあそういういい加減な話も含めて映画の面白さを再発見出来た映画であった