1.《ネタバレ》 独特のテイストを持った戦争映画『ビーチレッド戦記』を撮ったコーネル・ワイルドが監督の忘れられた逸品、近年はメル・ギブソンの『アポカリプト』のパクリ元として一部では有名になっています。彼は元オリンピックのフェンシング代表選手からハリウッド入りしたB級映画専門のアクション俳優(経歴からするとジェイソン・ステイサムみたいですね)でしたが、それよりも俳優出身監督としてメル・ギブソンやイーストウッドの先がけ的な存在です。本作のプロットやエピソードは『アポカリプト』がそっくり真似しているそうなのでそっちを参考にして下さい、というわけにはいきませんよね(笑)。 コーネル・ワイルド扮するガイドが仕切る像狩りツアーの一行は、メンバーが侮辱したせいで原住民に捕まってしまいます。白人もポーターの黒人もなぶり殺しにされますが、ワイルドだけは素っ裸で草原に放たれ8人の原住民たちの人間狩りゲームの獲物にされてしまいます。厳密にはジャングルじゃなくてサバンナなんですけど、ワイルドはけっこう逃げ足が速くまず反撃で1人殺してとりあえずサンダル、次に殺した奴からパンツと武器を装備して態勢を整えます。 実はワイルドたちが捕まる開幕10分以降、この映画では英語のセリフは皆無になります。あとは現地人たちが喋るスワヒリ語(?)だけになり観客にコミュニケーション疎外感を味あわせるのが監督の狙いでもあるんですが、何とDVD版には現地人の会話に字幕が付くんですよね。彼らのセリフが判らなくても観てればだいたい判りますし、雰囲気を味わうためにも字幕オフをお奨めします。人間たちの追っかけっこのシーンと交互に野生動物たちの狩りの実写フィルムが挿入されるんですが、これがけっこうエグイんです。アナコンダがオオトカゲを絞め殺すところや大ガエルが小ガエルを共食いするなど、でも観てると人間狩りしている連中も同じ野獣なんだなと納得させられました。途中、アラブ系の奴隷商人軍団が原住民の村を襲って奴隷狩りするところに遭遇し、逃げ遅れた少女をワイルドが助けるエピソードもあります。この少女とのふれあいと別れは良く考えられた脚本で、ジーンとくるものがありました。 ラストはなんか清々しいんですけど、観れば判りますけどそっくり『プレデター2』がパクってます。こうやって考えると、この映画は後世の作品に影響を与えたり丸ごとパクられたりしていて、まさに隠れた傑作と呼ぶに相応しいと思います。