4.内田吐夢監督の大傑作「飢餓海峡」の原作者でもある水上勉原作の映画化で、監督は「幕末太陽傅」の川島雄三、そんな組み合わせによって作られた文芸作品です。喜劇のイメージの強い川島雄三監督が喜劇でない映画にチャレンジし、そんなこの映画、何と言っても主演の若尾文子の美しさが光ります。もうこれは完全に若尾文子というこの時代の日本を代表する女優の美しさを見る。そんな映画です。そして、そんな若尾文子に対して手を出そうとするあの何ともスケベな坊主役の三島雅夫、本当に何か観ていてゾクゾクっとする映画です。そんなゾクゾク感をまるでヒッチコック映画でも観ているような覗き込むようなカメラアングル、あの不気味な音、そして、三島雅夫演じるスケベ坊主に身体をいじくりまわされた挙句にそれを慈念に見られた若尾文子の「うち、また見られてしもうた」の台詞を言う時のエロティクなこと!作品の舞台にお寺、そして、若尾文子にスケベ坊主ときたひにゃ、それだけで本当にいやらしい。この映画、何だか見れば見る度に好きになっていく。最初は8点にしたけど、何度か見ているうちに今では10点満点に近い9点にしたいぐらいの気持ちになってます。これも間違いない。川島雄三監督、そして、若尾文子の代表的傑作だ!