1.《ネタバレ》 45分の高密度で撮られた一篇。
この話の流れそのものはかなり解り易い。高い塔の上に引きこもっているオッサンをただ引き摺り下ろすだけでいいのだから。
聖歌を歌いながら広い荒原を歩いてくる人々。冒頭はシモンを頼ってやって来る人々が彼を地面に降ろす。
求道者として人々の願いに応えるシモン。普段はずっと塔の上で日向ぼっこだ。食料は紐のついたズタ袋によって塔の上に運ばれる。実際のシモンは大も小も垂れ流しでもの凄い臭かったとか。流石のブニュエルもその“匂い”が伝わってきそうなほど汚い身なりにはしなかったようだ。服の下の脚はボロボロだけどね。
身体が欠損した人間は「忘れられた人々」等にも登場。両の手を求める人間は思い出したかのように手が戻り、ある者は泡を吹いてシモンの下を流れていく。
それにしてもドラムでドンドコやるのが好きだねーブニュエルは。
15分を過ぎた辺りから引きこもりvs悪魔による闘いが始まる。ここから時代設定とか色んなものがブッ壊れ始める。いや、彼にとって本当の“現実”は何なのか解らなくなり始めると言うべきか。
地上を通る人々の姿。鶏を追う老婆、シモンのために働く女と戯れる自分の幻、そして子供のようにはしゃぐシルヴィア・ピナル!
酷い歌詞を歌いながら輪っかを高々と掲げてリム回し(輪回し)を始め、漆黒のセーラー服?で迫り来る。
「ビリディアナ」ですらピナルは谷間だけ見せたが、今回は豊満なおっぱいとガーターベルトと太ももとパンティを惜しげもなく見せる。シモンを誘惑するために。
ヤギのおっぱいもビンビンですね。
おっぱいを見せたかと思うと瞬時にシモンの横に移動、長い舌を出し、スプーン?でブスブスッと刺す。
また次の瞬間にはさっきのピナルの帽子を被った全裸の婆さんが。誰得だよっ!!
ウサギに食べ物を分け与えるのは、掌にとまった虫を潰さずに解き放つのは求道者としての自分を保つため。
シモンに従う女もまた謎が多い。さらっと蟻の巣を埋めるとか鬼かwww
ゼウスが羊を抱えるのは蹴り飛ばすため、羊の毛で鞄を作るため、石を詰めて投擲するため、カエルは爆発するため。
今度は橋が倒れ、地面を走る棺桶から片乳出したサタンとして再びシモンの真横に現れる。そしてシモンにトドメをさすように飛来する翼が発する音・・・。
ラスト5分の踊り狂う人々の姿。果たしてどちらが本当の「シモン」なのだろうかアッー!(最後の絶叫)