3.《ネタバレ》 べネックス映画を観ていて感じることは、どんな時も、どんなシーンでも美しい映像を提供してくれる監督だな、ということだ。人物描写でも、自然描写でも、アップでも、引いても、それは変わらない。基調となる青色が観ている僕に心地よさを与え、黄色が刺激する。湖畔のシーンなど、とても幻想的なシーンを見せてくれる。ストーリーは、少々トリッキーで、疑問の残る部分もある。たとえば、何故あの老人は湖の上を歩けたのか?ファンタジックなシーンの演出としては素晴らしいが、「何者?」と思った。湖に現れるはずの娘達も、結局のところ普通のオバサンになってしまっているわけで、それを湖に入ることで捜し求める意味がよくわからない。疑問は、最後まで解決されないまま放置されてしまい、次の話へと進んでいくわけだが、結局のところどうでもよくなってしまう。クライマックスに近づくにつれて、話が現実的に進み、そして感動へつながるわけだが、その進み方もちょっと無理矢理な感がある。それでも、9点を付けるしかないと感じてしまうのは、映像と、ジョッキー役の少年の演技と、そして何よりイヴ・モンタン、とにかくイヴ・モンタンの最後の演技だろう。監督とイヴモンタンに敬意と賛辞をこめて、9点。