1.《ネタバレ》 原作は未読なので、どの辺が違うのかよく判らないのだけれど、これはこれで素晴らしい作品だと思う。鑑賞後しんみりと温かい気持ちに浸ることが出来て満足至極。こんなに辛口評価が多いので大変びっくりしている。
深津絵里さんの透明感、寺尾聰さんの演技力、齋藤隆成君が吉岡秀隆さんに成長したと言われてみじんも違和感のない辺り、そして浅丘ルリ子さんの「眼差し」の演技。どれもこれも良かったと思うのだが。
やましんの巻さんも書いておいでのように、わたしも、ラスト近くで1人だけ着席している男子生徒に強い印象を覚えた。生徒たちが思わず言った(という感じだった)「ありがとうございました」という言葉といい、余韻に浸るように座り続けていたあの男の子といい、ルート先生の話が彼らにとって、非常に印象深かったのだと判るいいシーンだったと思う。
一番好きなのはやっぱりラスト・シーン。開かれた木戸と、海辺に集う皆の光景は、寂しい目の義姉に救いが訪れたと言う事を意味すると信じたい。「父親」というキイ・ワードの元に、登場人物たちが完璧な数式のように美しい関係を築いた瞬間、それがあのラスト・シーンだったと思う。ウィリアム・ブレイクの詩も効果的で良かった。
しんみりと温かい気持ちに浸れる、冬の夜には炬燵で蜜柑、みたいな作品。足の先までほこほこになれます。こういう作品を、海外の映画祭で紹介してもらえると嬉しいなあ、と思ったりする。(長い感想文はhttp://www.age.ne.jp/x/matori/cinema/matocinema.htmlに書きました)