39.《ネタバレ》 ボニー&クライド物はフリッツ・ラングの「暗黒街の弾痕」の方が粋で好きなのだが、アーサー・ペンのこの作品も大好きだ。
街でバッタリ会ったボニーとクライドが次から次へと銀行を襲っては逃げ、そして滅んでいく様を描く。
実際に起きた連続強盗事件を元に描くが、前科のあるクライドはカタギでやっていくには辛い身の上であり、何よりも銃を片手に強盗に興じる日々に充実感を得ていた。
そんな時に出会ったボニー。
彼女は退屈な毎日から抜けるため、クライドの危険な日々に惹かれてしまう。
ボニーはホームシックになりながらもクライドを愛し、クライドもそんなボニーを元気づけながら硬い絆を結んでいく。
後半から登場する運転手のC・W・モス、クラウドの兄貴バック、兄貴のヒステリーな妻ブランチ。デコボコな3人が加わり益々騒がしくなる面々。
同時に滅びの足音も静かに聞こえて来る。
直接的な性描写をせずに、キスと事後の所作だけを描いた点が良い。
匂わせるだけで二人が互いを受け入れた事がよく解るのが凄い。
ボニー&クライド一味はワイルドバンチ強盗団の如き八面六臂の大暴れ。
何処に行ってもトラブル続きの毎日。
死を覚悟するような日も稀になってくる。
俺たちは何処で何を間違えたのか。
俺たちに明日はあるのか、ないのか。
ボニーの母親たちとの別れ。もう二度と会えないとも知らずに・・・。
ラストは強烈な光景だが、妙な静けさが画面を包んでいく。
因果応報な幕引きではあるが、世の中に縛られずに好き勝手に生き、好き勝手に死んでいった者たちの無言の哀しさが伝わって来る。
罪を犯してきた二人は、真っ赤なリンゴに祈りをささげる。
一つのリンゴを互いにかじり「あの世に行っても結ばれような」という願掛けか。
車に残ったボニー、外に降りてしまったクライド。
史実では二人っきりで車ごと、映画で離れた瞬間に二人の運命は決してしまう。