22.《ネタバレ》 いやあ、激しいなぁ~~。久しぶりに激しいものを見てしまったな、という映画です。
といっても、動乱の時代の中国を舞台にしている映画ですが、誰かが撃たれて死んだり殺されたり、といった映画ではないんですよね。せいぜい捕まって牢獄にいれられたり
するくらいで。
何が激しいかというと、「愛」ですね。こんなに愛に全てをかけている男女というか
女二人(故レスリーとコン・リーが演じる二人)を見たのは久しぶりです。でも、
二人ともさもありなん、と思えるくらい、恋に落ちていく様子もちゃんと描かれています。レスリー演じる蝶衣は、子供の頃の京劇に入るまでから、入った後の体験が
あまりにも過酷な為、どうしてもその中で助けてくれた石頭を好きになってしまうんですね。コンリー演じる元娼婦もそう。本当はたまたま、気まぐれのような事なのですが、あまりにも助けてもらうタイミングが良すぎて、石頭の事を「特別な男だ」と
思いすぎてしまう。そして、二人とも、本当に石頭に尽くす尽くす・・・・。
愛を争いながらも、どこか蝶衣と菊仙は似ています。同じ男を好きになり、同じ男に
自分の夢も人生も賭けた・・・・。石頭は本当に二人に愛をささげられるだけの
価値のある男だったのでしょうか?それは私にはわからなかったのですが、こういう
「やたらとタイミングのいい優秀なセリフを吐く、罪作りな男性」というのは実際にも
結構居ると思います。悪気はないけど、肝心な時に鈍感で、絶対に言ってはいけない
セリフをぽろっと言ってしまう・・・。コンリーの演技が素晴らしく、女性の素晴らしさ・たくましさ・深さをよくあらわしていると思います。それだけに最後は残念
というか、菊仙の自殺だけは、監督の男のエゴが入っていると思いました。
菊仙くらい、頭のいい人なら、全てをかけた愛に破れても、あの男のもとを去り、たくましくやり直すほうが自然です。別れた女がいつまでも自分の事を好きだと勘違いしやすい男のタイプですね、監督は。女はもっとしたたかだぜ~。
蝶衣の10年後もまだ引きずってる様は、納得できました。蝶衣にとっては愛だけではなく、京劇という夢もすべてを賭けた愛だったのですから。いやあ、しかし、
愛って重いなぁ~~。