1.《ネタバレ》 ワイラー版「風と共に去りぬ」。
スペクタクルを期待する人間には少々物足りないかも知れないが、普通のメロドラマを期待する人には充分な作品。
少なくとも俺は「風と共に去りぬ」よりも好きだ。
ベティ・デイヴィスの演技が良い。気が強くワガママだったヒロインは、やがて気丈で落ち着きのある大人の女性へと成長していく。
物語は南北戦争を背景に男女の複雑な絡み合いを見せる。
彼女の着た「真紅のドレス(白黒画面では黒衣のドレスにしか見えない)」は別れの印か。彼女は“ジイゼベル”と呼ばれる男を狂わせる女なのだろうか。
いや、感情こそ激しいがラストの彼女の姿は気高い一人の女性でしか無い。病なんて関係ない。だって彼を愛しているのだから。
愛する男を殺そうとする病が、再びヒロインと彼を結びつけるとは何とも皮肉なものだ。
「そうだ明日があるは」何て事言いやがる女と、病が染つるかも知れない男に「愛しているから」ってだけで追いていく女、どっちが良いよ。俺は後者だね。